解説!鳥の鳴き声図鑑#016 ~食欲の秋!鳥は何を食べている?~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。ようやく暑さが和らぎ、夏の間姿を消していた鳥たちが少しずつ戻ってきました。今回は食欲の秋!ということで、秋の公園で撮影したユニークなお食事シーンをご紹介します。
超器用!木の実を割るヤマガラ
10月上旬、夕方4時頃のこと。頭上から何かを叩くような音が聞こえてきました。枝に止まっていたのは…ヤマガラです!<秋の公園は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(2:23~)>
音声はリニアPCMレコーダーLS-P5で録音。
鳴き声の高音だけでなく、コンコン!と木の実をつつく低音も鮮明に撮れている。(2:23~)
木の実を足に挟んで固定し、クチバシで真上から叩いて割っています。コンコン!とキツツキに負けないくらいの大きくて強い音が鳴るため、すぐに存在に気付くことができますね。また安全だからか実が割りやすいからか、地面でなく枝の上まで運んで割ることが多いです。ヤマガラは様々な木の実を食しますが、特にどんぐりやエゴの実がお気に入りのようですね。
食べ終わると再び地面に戻り、実を探しはじめました。しばらく観察してみると…実を1つくわえては左右に振って地面に戻し、また1つくわえては戻し…を繰り返しています。<秋の公園は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(2:13~)>もしかすると、中身が詰まっているかや重さなど、どれが美味しそうかな?と品定めしているのかもしれません。
またヤマガラをはじめとするカラ類は、「貯食(ちょしょく)」をすることでも知られています。リスがどんぐりを貯めるのは有名な話ですが、鳥も同じように実を木の割れ目や地面などに隠し、餌が少ない季節の貯蔵食とします。<森林は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(9:07~)>そのため秋には、頻繁に木の実を探している姿が見られますね。
こんな小さな虫まで!?メジロ
続いては…木で群れているメジロを発見しました! 枝にぶら下がっては葉をついばみ、すぐに近くの枝に移っては口をパクパク。<秋の公園は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(4:12~)>
一見実がなっているようにも見えず、一体何を食べているのかと拡大してみると…なんと、数ミリほどの小さな芋虫でした!<写真2>さらには葉にぶら下がり、頭を左右にひねりながら葉の中に隠れている虫をほじくりだしました。<秋の公園は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(5:12~)>メジロといえば花の蜜や果実が好物で甘党のイメージがあったのですが、こんな小さな虫まで見つけて食べるなんて驚きです。
その後観察を続けていると、食べ終わったのかピーピーと複数で鳴きながら隣の木へと移っていきました。このように繁殖期が終わると、秋から冬にかけて小鳥は群れで行動することが多くなります。同種同士だけでなく、カラ類やエナガ、メジロやコゲラなど異種同士も混ざりあった群れ「混群(こんぐん)」を形成することも。食べる物が同じである場合、複数でいるほうが効率的に見つけて仲間に教えられるほか、外敵に一早く気付けるためです。また群れが移動する際は、鳴いて「そろそろ行くよー!」と仲間に合図を出すため、進行方向に先回りしておくと観察しやすいかもしれません。
華麗にキャッチ!コサメビタキ
最後に、枝に止まっているコサメビタキを発見しました。よく見てみると…口にはトンボをくわえています!<写真3>どうやらトンボを枝に叩き付けて弱らせ、動けなくしてから食べているようですね。<秋の公園は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(1:18~)>
その後も観察を続けると…横枝や木・杭の天辺など見晴らしのいい場所に止まり、周囲のトンボを目で追う様子が見られました。このようにヒタキ科の鳥では、空中で飛んでいる虫をキャッチし、元の枝に戻って食べる姿がよく見られます。
特に9~10月にかけての渡り時期には、平地の自然公園ではエゾビタキ、コサメビタキ、サメビタキ、さらにはオオルリやキビタキなど、飛び虫を狙う様々なヒタキを見ることができます。同じ場所に数日~1週間以上留まることもあり、他にも芋虫や木の実などの餌をたくさん食べて、東南アジアへの長い帰路に備えます。
さて、いかがだったでしょうか?秋は渡りや冬に備えて、それぞれの鳥が工夫して餌を食べていることが分かりました。ぜひ他の鳥が何を食べているのかも、じっくりと観察してみてくださいね。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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