カメラを持つことで見えたまちの魅力、人との出会い - 田中香織
写真でまちを元気に!”をモットーに、OM SYSTEMのカメラを使って長浜の「人」「暮らし」「こと」などを発信している「長浜ローカルフォト」ローカルフォトの先輩である「小豆島カメラ」のみなさんと同じように、今回からメンバー同士がお互いにインタビューをして、順番に一人ずつ紹介していきます。長浜ローカルフォトは現在30代〜50代の男女9名で活動しています。個性豊かなメンバーが、どのような思いで活動しているのか。カメラを持ってまちに踏み込んでみて見えてきたことなど、メンバーそれぞれの視点で語っていこうと思います。 まずは長浜ローカルフォトの代表を務める「田中香織さん」を、竹中昌代がご紹介していきます。長浜ローカルフォトには「田中」が二人いますので、ここでは「香織さん」と呼ばせていただきます。香織さんはバイタリティにあふれていて、みんなが頼れるお姉さん的な存在です。
この一枚がきっかけで「写真でまちを元気にできる!」を実感
写真は2018年に長浜市木之本町木之本で開催された「秋葉祭」での一枚。この地域の消防団の人たちを香織さんが撮られたものです。みなさんイキイキとしたいい表情をされていますよね!
この秋葉祭を2018年に、当時の長浜ローカルフォトアカデミーとして、香織さんと私が撮影に同行させていただきました。秋葉祭は2tほどもある大きな神輿を140人もの男衆が交代で担ぎ、5時間がかりでまちなかを練り歩きます。勇ましく神輿を担ぐ写真も撮ってはいたのですが、地域の人たちが集まり、大変ながらも祭りを楽しまれている様子に二人で感動。
「みんなの顔が見える写真を撮ろうね!」
香織さんとそう話して、14ある町ごとの集合写真や休憩時のオフショットもたくさん撮りました。
アカデミー時代、講座の中で写真家のMOTOKOさんが何度も語ってくれた「その土地の住民や暮らしぶりを撮ること。地域で生きる人をその地域の人が撮影すること。カメラで可視化し、まちの解像度を上げることが、撮影する側もされる側も地域の良さを発見し、シビックプライド(住民の誇り)を取り戻す。そうすることでまちが少しずつ元気になっていく_______。」というローカルフォトの目標。香織さんも頭ではわかっているものの「自分が撮る写真で果たしてそんなことができるのか?」と、それまではまだ実感がなかったと言います。
そしてこの写真を含めた秋葉祭の写真をSNSで発信したところ、地元の夏祭りや企画展にお声がけをいただき、秋葉祭の写真展まで開催することができました。
「今まで当たり前にやってきたが、祭りは地域をひとつにするために必要なことだと気付かされた」
「祭りを続けていくことの大切さが写真を見て感じた。素敵に撮ってくれてありがとう!」
地元の人たちから、こんな嬉しい声を聞くことができたのです。
翌2019年には新たにスタートした”長浜ローカルフォト”として初めての秋葉祭を、4人体制で撮影させてもらいました。「◯◯町の人は集合写真を撮るので神輿の前に集合!」などと、自治会長さんがマイクで呼び出してくださったり、「カッコよく撮ってや!」と快く協力してくださったり____。
「あの時初めて、私たちカメラマンと地元の人が一緒にできた。受け入れてもらえたことを実感できた気がする」と、香織さんは当時を思い出しながら笑顔で振り返ります。
秋葉祭で撮った消防団の人たちの写真は、カメラがあったからまちの人たちと繋がれた記念の一枚となりました。
2019年3月、長浜ローカルフォトアカデミーとして集大成となった写真展。そのフライヤーには、香織さんが撮られた秋葉祭の写真がメインビジュアルを飾りました。
香織さんは、2018年の秋葉祭の前にM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100㎜F4.0 IS PROレンズを購入。
「これは祭りレンズだね!」
レンズ交換することなく、集合写真からズーム撮影まで1本でいけちゃう優れものです。
長浜ローカルフォトアカデミーから“長浜ローカルフォト”へ
2016年から写真家のMOTOKOさん、堀越一孝さん、オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)さん、長浜市による官民連携のプロジェクトとしてスタートした“長浜ローカルフォトアカデミー”。
3年間プロジェクトでの修行を経て、2019年度からは“長浜ローカルフォト”と、チーム名を改め独り立ちをしました。
設立にあたり、香織さんが“長浜ローカルフォト”の代表に就任。
当初はチームを引っ張っていくという役割に不安もあったそうですが
「もっとカメラと向き合ってみたい。もっと真剣に地域と関わっていきたい」
個人としては2年間、長浜ローカルフォトアカデミーで活動する中で、そんな気持ちを抱くようになり引き受けたと言います。
2019年度は余呉町の菅並地区、2020年度は木之本町の金居原地区、2021年度は湖北町の尾上周辺地域と、それぞれフォーカスして取材・撮影を重ねます。その成果発表としてフォトブック制作や写真展を開催。アカデミー時代よりもさらに地域に入り込むことによって、カメラを持って撮影する私たちだけでなく、SNSでの発信や写真展等を通して、市内外の人たちがその地域の暮らしや人の温かさを知るきっかけにもなりました。
カメラがあったから得られたもの、そしてこれからの思い
長浜ローカルフォトとして活動を始めて4年。
「技術よりも、ただただその地域を“知りたい”という思いで走り続けてきた」香織さんはそう振り返ります。
途中コロナ禍で思うように活動できないこともありましたが、カメラを持ってその地域に踏み込むことで得られたたくさんの出会い_____。それが香織さんとって大切な宝物になりました。
そして地道な活動によって少しずつ“長浜ローカルフォト”を認知してもらえるように。
2020年に木之本町の限界集落である金居原にスポットを当てて、フォトブックの制作と写真展を行った際。地元の人たちだけでなく、やむなく金居原から離れた人たちもたくさん訪れてくださいました。
「みんなええ顔してるなぁ」「あぁ、ほんま懐かしい、涙が出るわ。ありがとう!」
涙を流しながら写真やフォトブックを観てくださる姿に、私たちも貰い泣き。
「あの時の“ありがとう”が、今も忘れられないなー」
「私たちの活動を通して、たとえ故郷を離れたとしても、自分のまちとして誇りを持ち“故郷のことを考える”きっかけになれば最高に幸せ____。これからも私たちはカメラでその“時”を記録する役割を担っていきたい」と、香織さんは語ってくれました。
長浜ローカルフォトとしての活動も少しずつ認知してもらえるようになってきて、私たち自身も自分達の活動に誇りを持てるようになってきました。今後も香織さんやメンバーみんなで、「写真でまちを元気に!」を実践していきたいと思います。
文:竹中昌代
写真:田中香織、竹中昌代
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