小池 英文 写真展 「THE DELTA 〜 ガンジスの海・聖なる島」
インドのガンジス川の下流域には、広大なデルタが広がっています。
その南端に浮かぶガンガサガール島を訪ねて25年が過ぎました。
島は聖なるガンジス川が海と出会う場所として、古来より人々の信仰を集めてきました。打ち寄せる波に身を投げ出し、歓喜の声を上げて海に祈りを捧げる人々の姿は、まるで海に生まれた生命の記憶が呼び覚まされてゆくような、とても美しい情景でした。
一方、訪問を重ねるたびに見えてきた風景もありました。
それは島の海岸線に刻まれた天災の爪痕です。
サイクロンの通り道にあたるこの地域は、高潮によりこれまで多くの犠牲者を出してきました。それでも島に暮らす人々は、自然に打ち勝とうとは考えてこなかったといいます。彼らの自然に対する考え方は、恐ろしいから大事にする、というものです。自然にいたずらに抗うのではなく、それを神格化することで巧みに価値転換をはかってゆく。たとえば海に飲まれて命を落としたとしても、「母なるガンジス」に還ってゆくのだから幸せなことだ、とその死を人生最大の至福へと昇華させてゆきます。おそらく彼らの胸の内には、自分たちの生命も自然界の一部だという意識が、今もしっかりと息づいているのかもしれません。
堅牢な防潮堤で自然と一線を画すのではなく、生死を内包する大きな自然観によって心の安寧を保つ人々。熱帯デルタに生きる人々の姿を通して、人と自然との関係性をもう一度問い直してみたいと思います。
作品点数 55点
■期間
2024年9月12日(木)~ 9月23日(月)10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで
入場無料 ※休館日9月17日(火)・18日(水)
■トークイベント【大好評のうち終了しました】
【終了しました】◇9月14日(土) 15:00-16:00
小池英文 (写真家) ✕ 佐伯剛 (風の旅人編集長)
【終了しました】◇9月16日(月・祝) 15:00-16:00
小池英文(写真家) ✕ 外川昌彦
(文化人類学者・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
トークイベント共催:東京外国語大学フィールドサイエンスコモンズ
(TUFiSCo) /
アジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究人類学(ILCAA-Anthropology)
■作家プロフィール
小池英文(Hidefumi Koike) 写真家 1964年東京都生まれ。
都立高校を一年間休学し米・カリフォルニア州に渡る。現地公立高校を卒業後、アメリカ全土を旅する。大学卒業後は海外取材を繰り返し、写真と記事を多くの新聞や雑誌に発表。近年は国内にも目を向け、2017年に写真集「瀬戸内家族」(冬青社)を刊行。同作で林忠彦賞最終候補にノミネートされる。また同名のフォトエッセイを産経新聞およびYahooニュースに連載中。
2019年 12月 瀬戸内家族 (大阪Photo Gallery Sai)
2019年 10月 父の渓流で(小伝馬町iia Gallery )
2017年 9月 父の渓流で (佐賀 Gallery Slow)
2017年 1月 瀬戸内家族 (新宿Konica Minolta Plaza)
2014年 9月 生命のめぐる海辺Ⅱ (祐天寺Paper pool)
2014年 3月 生命のめぐる海辺 (新宿Konica Minolta Plaza)
2012年 4月 海と人のあいだ (新宿Konica Minolta Plaza)
2010年12月 水の永遠に (大阪Photo Gallery Sai)
■会場
OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)
●営業時間
10:00~18:00
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業
●所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F
電話番号:03-5909-0190
●アクセス
新宿駅西口から徒歩5分
新宿西口地下ロータリー左側の地下道を都庁方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。
都営地下鉄大江戸線都庁前駅から徒歩4分
B1出口から地下道を新宿駅方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。
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