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タロイモの七転八起大陸自転車横断記#01

はじめまして。只今自転車でのユーラシア大陸横断に挑戦中の森本太郎と申します。SNS等ではタロイモという名前で活動しております。本業は大学院生、今回は一年間の休学を取っての挑戦です。まさか自分にこのような機会が巡ってくるとは思っていなかったのですが、これから十か月ほど、こちらのOM SYSTEM noteに連載させていただきます。自転車旅行の特権を生かし、普通の旅行ではなかなか訪れるような機会のない場所などを中心とした美しい風景と営みをお届けしたいと思います。

【プロフィール】
森本 太郎 Taro Morimoto
1999年生まれ。現在は大学院を休学中。中学生時代に自転車に目覚め、気が付けばユーラシア横断が始まっていた。大の釣り好きでもあり、今後世界各地で竿を出すのが待ちきれない。
Twitter:@taroimo_on_bike
Instagram:@tokyo__express
Youtube:@tokyo__express


自転車旅行との出会い

私が初めて自転車を自転車として意識したのは、中学二年生の頃でした。暇を持て余した休日に、以前に住んでいた町へなんとはなしに漕ぎ出したのが最初です。当時の私にとってそこは鉄道で行く場所、片道20kmの道のりは果てしない冒険に思えたものです。しかしいざ漕ぎ出してみると、これが思いの外すんなり辿り着けました。地図上には確かに存在するが、今自分がいる場所からは遠く見えない場所、それは本質的には概念のような存在だと思いますが、そんな場所にも自分の足で行くことができる。あらゆる地図上の地点は現実に存在する。それらは無限にも思える有限の広がりをもって、確かに繋がっている。これこそが私の原点です。
 以来、高校一年の夏休みに最初の単独自転車旅行に出たのを皮切りに、大学での部活動を通じて大きく行動の幅を広げてきました。思えば、中学生の頃初めて奥多摩まで行こうとした際に顔を真っ赤にして反対した母も、今回の挑戦を応援してくれています。今回に限らず、これまでの旅行でも両親からの協力と応援がありました。今回の旅行ですら、どう取り繕っても自分のための娯楽以上のものではないはずですが、そんな夢でも、大きくなれば今私がこうしてOM SYSTEM noteに寄稿させていただいているように、きっと何処かで誰かが応援してくれています。そうした、私を応援してくださっている皆様に恥じないよう、無事に走り切りたいと思います

2023年4月5日 ポルトガル リスボンのコメルシオ広場
自転車の最終調整を終え、象徴的な写真を撮ろうと中央広場へ。
4月の初旬だというのに、ポルトガルの日差しは強烈だ。
2019年8月27日 キルギス ソンクル湖畔 (思い出深い一枚)
湖面標高が3000mを超えるソンクル湖へ砂利道を一日中登り続け、最後にたどり着いたのがこの湖畔の大草原。足もとをとられ、起伏も激しくあまりに辛かった。
しかしその景色は筆舌に尽くし難い。

旅の概要

今回の旅の出発地点は、ポルトガルの首都リスボン近郊にあるロカ岬です。そしてこのロカ岬こそがユーラシア大陸の西端であり、大陸横断の出発地点としてこれ以上の場所はありません。
4月8日にロカ岬を出発しヨーロッパを全体的に南回りで周遊したのち、トルコ・ジョージア・アゼルバイジャン・イラン・パキスタン・中国・キルギス・カザフスタン等を通過して最終的には東京に至るのが大まかな旅程になります。もちろん、現状では入国の可否が不透明な国もあり、残念ながらこの計画のとおりにはいかない可能性もあります。しかしそれでも、かならずほかの道を見つけて完走するという覚悟でペダルを踏んでいます(まだ三日目ですが)。

2023年4月7日 ポルトガル ロカ岬(このユーラシア横断の本当の出発地点。
ユーラシア大陸最西端の地である。聳え立つ断崖絶壁の上から、大西洋に沈む夕陽を見た。

自転車旅行とカメラ

さて、近年は自転車旅行者の間でも専用のカメラを持たない人が増えています。とにかく荷物になるものを嫌うという自転車旅行者の習性とでもいうべきものもありますが、ハイエンドスマートフォンやGoProでも十分な写真が撮れるとの考えが大きな理由かと思います。
そんな中なぜ自分はいつも一眼と一緒に旅をしているのだろう…?それについて改めて考えてみると、二つの理由にたどり着きました。一つは、実際のところそれほど荷物の量を気にせずとも何とかなるということ。もう一つは、そうはいっても一眼で撮る写真や映像の質は圧倒的に高いこと。デジタル処理でない自然なボケや、夜間撮影性能などの領域では特に大きな差があります。自分の身の回りの同年代者の多くは、自転車旅行者に限らずスマートフォンのカメラで十分という考えの人が多いですが、彼らに一眼で撮った写真を見せるともれなく驚かれます。そこには誰が見てもわかる違いが確かにあるのです。
自分の場合、高画質にこだわる理由は眼前の景色を可能な限りそのまま残したいからです。現実の世界にはノイズはありませんし、階調はとても豊かです。もちろん限界はありますが、それでも後年に記憶が色あせてから見返すとき、その写真が高画質であればあるほどかつて自分がそこにいたことの証明になるような気がするのです。
さて、今回の旅に連れ立っているのは最新ミラーレス一眼のOM SYSTEM OM-1ですが、以前はOLYMPUS時代のOM-D E-M5 Mark IIとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの組み合わせを愛用していました。荷物になるのはある程度我慢できるとはいえ、フルサイズ機のような大掛かりなシステムはさすがに困難ですし、優れた耐久性・信頼性も求めた結果ほとんど唯一の候補として残ったのがOM-Dシリーズでした。E-M1ではなくE-M5になったのは単に予算の都合ですが、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROという一本で星空からポートレートまで完璧にこなせる素晴らしいレンズがセットだったのも決め手です。
 その後E-M5と12-40mmレンズは旅先で大いに活躍してくれたのですが、若干の解像度の不足も感じざるを得ず、今回の旅行に合わせてOM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIに更新しました。結果は大満足のひとことで、センサー周りが長足の進化を遂げ、とても同じマイクロフォーサーズとは思えないほど映りが良くなっていますし、風景写真が主な自分にとって手持ちハイレゾショットはかなりの飛び道具です。ほかにも新レンズとの組み合わせで防塵防滴能力を獲得したことや、USB給電に対応したことなど、細かいところを挙げればきりがありませんが、とにかく気に入っています。自分の使い方だとバッテリーが平気で数日持つのも素晴らしい点です。まさに最高の相棒です。
 実のところまだまだOM-1の機能と設定を把握しきれていませんし、写真の技量自体も未熟ですが、十か月を通じて少しずつ良くなっていくと思いますので、次回以降の本格的な旅行記にご期待ください。それではまたお会いしましょう。

文・写真 森本 太郎

撮影機材
Camera:
OM SYSTEM OM-1
OM-D E-M5 Mark Ⅱ
Lens:
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO Ⅱ

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