「東京写真月間2024」29th 国内企画展「写真の力で伝えようSDGs」岡田 満「いのちを紡ぐ≪身近での野鳥の生態から野生との共存を考える≫」香川良海「草花一木 大分県西部」
公益社団法人 日本写真協会 主催で29回目となる「東京写真月間2024」。
今回は「写真の力で伝えようSDGs」をテーマに2名の写真家の展示を行います。
■期間
2024年5月30日(木)~ 6月10日(月)10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで
入場無料 ※休館日6月4日(火)・5日(水)
Space1:岡田 満「いのちを紡ぐ≪身近での野鳥の生態から 野生との共存を考える≫」
新型コロナウイルスのため外出がままならない中、私は自宅のすぐ近くにある川を散策しました。幼い頃は魚やトンボなどを追い回したりして遊んでいたものです。高度成長期後、川はひどい汚染状況でしたが、今回歩いてみると、フナやモロコなどの魚をはじめ、コサギ、ダイサギ、アオサギやカルガモなどの野鳥が生息していたのです。魚や鳥たちは、あれほど悪化していた環境の中でも精一杯生き抜き、その野性は脈々と受け継がれていたのです。しかし彼らをとりまく生息環境はまだまだ過酷なものです。行政の河川管理の主眼は水害対策です。一刻でも早く雨水を海に送り出すことに専念しています。川は住民が立ち入れないように鉄柵で覆われ、本来私たちが享受すべき河川が持っている多様で豊かな自然に触れるという歓びは置き去りにされているのが現状です。最近になって河川の浄化が若干進み、全国的にもカワセミなどの野鳥が都市部でも復活しつつあると言われています。小さな川でも水が流れれば水生昆虫や魚が住み、野鳥が集まり、人と野性の出会いが生まれます。経済や社会の目先の効率ばかりが優先する社会ではなく、豊かで多様な生きものが存在する社会であってほしいと思います。
今回、私たちは、新型コロナウイルスによる全世界的なパンデミックの惨状を経験しましたが、かつてのエボラなどのキラーウイルスの惨禍を振り返ってみても、それらは人間の自然環境への暴力的な支配という行為によって人間社会へ呼びこんでしまい、甚大な被害をもたらしてきたものです。かつて人類は地球という星の生態系に包まれ進化してきました。ですから、私たちの生命生存の本質はそれらの生態系と一体化し共存していくことにあります。しかし、人類はいつしか生態系の頂点に位置していると自認するあまり、地球のすべての生命を自分たちのためだけに自由にコントロールする資格があるとまで錯覚してしまっているように思います。SDGsの主要な側面は「経済」「社会」「環境」です。それらのバランスが求められています。「環境」の具体化のターゲットは陸上の生態系と内陸の淡水地域の生態系、山地の生態系の保存や回復です。それは生物の多様性を確保することでもあり、持続可能な形で自然と触れ合うことを求めています。
私たちは、今回体験したパンデミックから、豊かな生態系の保存とそれらとの共存を身近な生活環境から見つめなおしていくことの大切さを学ばなければならないと、私は思うのです。
■作家プロフィール
岡田 満
1946 年大阪市府大阪市に生まれ。障がい児学校に勤め、生徒たちの社会的自立のための職業教育にあたる。印刷術を教える傍ら、写真印刷の技法や写真表現の可能性に興味を持ち今日に至る。30年程前、開発によって白神山地のブナ原生林が危機的状況になっているという報道に接して衝撃を受ける。それ以降、九州から北海道までブナの森を追って写真取材をすすめる。その後、ライフワークとして日本列島の原生的な森へ取材対象を広げ、モノクロ写真による写真作品を発表してきた。 コロナ禍の最近は、市街地という身近な環境における野性との共存というテーマで写真活動を続けている。
◇主な賞歴
1996年「追いつめられたブナ原生林の輝き」第5回林忠彦賞受賞
2005年「1本だたらの森」で第2回田淵行男賞特別賞受賞
2013年「黒潮の森」で第4回田淵行男賞特別賞受賞 など
◇写真集
・「追いつめられたブナ原生林の輝き」ブレーンセンター
・「岸和田だんじり祭り」機関誌出版センター
・「母の森≪和泉葛城山のブナ林≫」機関誌出版センター
・「1本だたらの森」機関誌出版センター
・ 「神々の森」東方出版
Space2 香川良海「草花一木 大分県西部」
私は40年間山菜料理店を経営しましたが、2024年3月末でツアー旅行社の予約を断っております。 それは気候変動により山菜採りに行く山道などが、線状降水帯により道路が何カ所もなくなりました。 毎日の山行きは日課でしたが安心安全な食材が採れなくなったのです。でも生活があるため許可をもらっている場所にと、来客の少なくなったコロナ禍にも足を運んでみましたが危険で入山できませんでした。 その時、崖崩れ現場の岩の間から植物が、私に生きざまを見せつけているようで、命をなんとか生き延びようとしている姿に健気を見せつけられました。 万人が愛されているさくらにも感動しますが、さみしい 山中でも頑張っている草花もかけがえのない命も同じだと思いつつ、人間様がどれだけの木を切り、川や海を汚し、空気までも汚してオゾン層まで壊したか、はかりしれなく思うのです。温暖化防止に少しでも協力し自然に感謝し撮影のテーマ を、草花一木との共生とし時間の許す限り草花と語り合いながら写して行きたいと思っております。
■作家プロフィール
香川良海 Kagawa Ryokai
大分県日田市生まれ 京都佛教学院卒業、大原山神官寺住職
公益社団法人日本写真協会 会員
一般社団法人日本写真作家協会 会員
大分県美術協会招待会員
日田写真協会 会長
◇個展
「美林の里ひた」 銀座キヤノンサロン 名古屋、大阪、福岡、別府
「秘境杣の里」 銀座富士フォトサロン 福岡、久留米他
◇出版
写真集『美林の里ひた』
エッセイ集『生きとし生けるものへかぎりない愛を』
■会場
OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)
●営業時間
10:00~18:00
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業
●所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F
電話番号:03-5909-0190
●アクセス
新宿駅西口から徒歩5分
新宿西口地下ロータリー左側の地下道を都庁方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。
都営地下鉄大江戸線都庁前駅から徒歩4分
B1出口から地下道を新宿駅方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。
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