解説!鳥の鳴き声図鑑#014 ~夏の亜高山帯は鳥がいっぱい!~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。7月に入ってセミが鳴き始めると同時に、平地では鳥のさえずりがぱったりと聞かれなくなりました。そんな夏でも野鳥観察がしやすいおすすめの場所が、亜高山帯。西日本~中部地方では主に標高1500~2000m、北海道では主に数百~1500mに分布し、常緑針葉樹林が生育する環境です。今回は、亜高山帯で観察したい小鳥3種をご紹介します。
日本三鳴鳥!コマドリ
6月末、午前11時頃。ササ藪の中から、「ヒンカラララ…」という鳴き声が。<コマドリの鳴き声(0:05~)>切り株の上にいるのは…コマドリです!
薄暗い林内では、テレコンバーターM.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20を外して撮影することも。
簡単に着脱できるため、状況に応じて使い分けています。
ウグイス、オオルリと並ぶ日本三鳴鳥の1種で、鳴き声・姿ともに美しくバードウォッチャー憧れの鳥です。また「駒鳥(コマドリ)」の名の通り、力強いさえずりがまるで馬のいななきのよう。至近距離で聞くと、かなりの迫力ですね。
コマドリは、林床にササが茂っている環境を好みます。普段は藪の中に隠れているため見つけづらいですが、オスがさえずる際には倒木や枝の上など、目線くらいの高さに出てくることも。特にコマドリの生息密度が高い場所ほど、姿を現してよく鳴きます。他のオスの声がすると、キョロキョロ見渡して警戒し…負けじと歌を響かせていました。
冬とのギャップに注目!アオジ
引き続き6月末、午前8時頃。森のいたる所から、美しいさえずりが聞こえてきました。枝先で鳴いているのは…アオジです!<初夏の山は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(2:19~)>
最初、独特なリズム感からホオジロかな?と思ったのですが…よく聞いてみると、ホオジロよりはゆったりとしたテンポで、少し間延びしている印象。時折枝先を移動しながら、同じ場所で長時間堂々とさえずっているため、見つけやすいです。
アオジは漂鳥(ひょうちょう)と言って、春夏の繫殖期は山地、冬は平地というふうに、季節によって場所を移動します。越冬期は「チッ」というか細い声で鳴き<アオジの鳴き声(0:05~)>、藪に隠れて地味なイメージだったアオジ。今回初めて繁殖地での姿を見て、こんなに美しい鳥だったんだと感動し、改めてアオジの魅力に気付きましたね。
青色の秘密…ルリビタキ
続いて、8月下旬の7時半頃。地面で餌を探している青い鳥は…ルリビタキのオスです!<山は鳥がいっぱい!【野鳥撮影vlog】(0:31~)>口に虫を咥えて飛び去り、また地面に戻ってきて餌探し。もしかしたら、子育て中の雛に与えているのかもしれませんね。
また木の横枝に、オリーブ色の個体も発見。<写真2:中>この個体はメスもしくは1年目の若いオスで、ルリビタキのオスは2年目で初めて青色へと変化します<写真2:左>。これには理由があって、1才オスは地味な羽色で自分が弱い立場であることをアピールし年上オスとの闘争を避けることで、怪我などのリスクを回避しているのだと考えられています。
また観察を続けていると…近くにまだら模様の幼鳥も発見!<写真2:右>ルリビタキも漂鳥で冬には平地で見られる身近な鳥ですが、こうして繁殖地ならではの姿を見られると嬉しいですね。
さて、いかがだったでしょうか?夏の亜高山帯では、まだまだ繁殖シーズン真っ盛り。場所にもよりますが、私の経験だと7月下旬頃までは鳥のさえずりを聞くことができました。ぜひ皆さんも避暑がてら、夏山で探鳥してみてくださいね。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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