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まち がわたしの居場所になった − いこまち宣伝部8期生 武田香織

【わたしのまちとカメラ Vol.018 いこまち宣伝部#002 】

生駒市北部にある『パリワール・村カフェ』の扉を開けると、「いらっしゃいー」という声が聞こえました。奥に座っていたのは、いこまち宣伝部8期生の、武田香織さん。「メニューはカウンターのとこね」と言いながらお水をついでくれる姿は、まるで店員のようにお店に馴染んでいます。
今では生駒が楽しい場所になったという武田さんですが、少し前までは、まちのことを全く知らなかったそう。何をきっかけに変わったのか、そのストーリーを聞きました。

息子さんと一緒に
写真提供:武田香織さん

【プロフィール】
武田 香織 Kaori Takeda
奈良県・大和郡山市生まれ。2006年より生駒市在住。
学生時代は電子情報工学を専攻し、大阪の電機メーカーに就職。
ゆるっとした空気感ながら、しっかり者の一面があり、自分の道をまっすぐ歩めるタイプ。
楽しいことが大好きな、生粋の関西人。

平穏な日々と一末の不安

武田さんは、結婚を機に生駒市に住むようになりました。はじめは、勤め先に近い大阪のマンションの購入を考えていましたが、治安の良さ・電車の便利さ・新築の戸建てであるという魅力から、今の家に決めたそうです。その後8年ほどは、夫婦で自宅と職場を往復する日々。趣味としてトランペットを習ってみたりもしましたが、仕事中心の生活で、長くは続かなかったそう。それでも、毎日を穏やかに過ごしていました。

2014年になるとお子さんを授かり、産休・育休を取得しました。入社以来はじめての長期休暇。世の中から置いていかれるような、薄っすらした不安を覚え、「なにかの形で社会と交わっておきたい」と思ったそうです。市の広報紙から子連れで行けるイベントを探し、パパママ講座や、子育てアプリの制作に参加。研修を受けて、おもちゃドクターの資格を取ったりもしました。

いま振り返ると、仕事以外に熱中できる何かを探していた、という武田さん。いつかは定年を迎えて退職する、その時自分には何が残っているんだろう。出産は、自分の暮らしや将来について考え始めるきっかけになったと言います。
しかし、ようやく家庭や子供中心の生活に慣れたところで休暇が終わり、会社に復帰することに。再び忙しさに追われて、自分探しから遠のいていきました。真面目に日常をこなす、それが当時の最大のミッションでした。

お食い初めの頃
写真提供:武田香織さん

いこまち宣伝部で見つけた大好きな場所

転機となったのは、2021年。友人にいこまち宣伝部を勧められたことです。仕事も忙しい時期で、一旦尻込みしましたが、思い切って応募してみました。幸運なことに、高い倍率の中から当選。いこまち宣伝部員としての新たな人生が始まりました。

いこまち宣伝部8期生の仲間たち
写真提供:生駒市広報広聴課

参加して驚いたのは、研修が手厚く楽しかったこと。同期という仲間もできました。取材やライティング、カメラの講座などを受けるうちに、写真への向上心も湧いてきたそうです。

「これまでは、地域に知り合いもいなかったし、写真は風景や子供を撮るだけ。カメラがまちのためになるなんて、考えたことがありませんでした。こんな仕組みがある生駒市っていいなぁ、と思うようになりました。」

写真家 クキモトノリコ先生によるカメラ講座
熱心に受講する武田香織さん
仲間とペアを組んで撮影練習

そうやって迎えた、初取材の日。武田さんは風景担当を希望しましたが、予想外のお店担当に。うろたえながら、自宅近くにオープンした『パリワール・村カフェ』を訪れました。これまではお客という立場でしたが、その日はライター兼カメラマン。緊張しながら写真を撮り、店主のご夫婦と話をするうちに、すっかりお店に魅了されたそう。

「最初は、お店やまちの人にカメラを向けるのが難しかった。でも取材・撮影というハードルを超えると、店主との距離が一気に近くなるんです。居心地が良くなり、通い続けたくなりました。」

初取材『パリワール・村カフェ』での撮影風景

自分を必要としてくれる人たちのために

いま、武田さんは『パリワール・村カフェ』のお店作りに積極的に関わっています。みんなで過ごす場所だから、みんなで良くしていけばいい。豚の貯金箱を用意して『パリワール村人基金』を立ち上げました。
お釣りの寄付などであっという間に基金は2万円になり、お店にこたつを設置。常連さんと一緒に『パリワール新聞』を発行したり、家主さんと協力して、2階にワークショップや在宅ワークができる部屋を作ったりもしています。店主のミミさん曰く「彼女はここのマネージャーみたいな存在。一緒にお店を盛り上げてくれる同志という感じです。」

武田さんが設置した貯金箱『パリワール村人基金』
常連さんによる発行『パリワール新聞』

武田さんに今の気持ちを聞いてみると、
「いこまち宣伝部の活動を通して、私を必要としてくれる人や場所と出会うことができました。そんな皆のためにできることをしていきたい。忙しいけれど重荷じゃなくて、生き生きしています。これからもっと楽しいことが見つかるという期待感でいっぱいです。」
とのこと。

寝に帰るだけだったまちに、自分の居場所を見つけた武田さん。
これからもカメラでまちを撮り続けたい、そんな風に語ってくれました。

武田香織さんが使っているカメラ
Camera:
OM-D E-M1 Mark III
Lenz:
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

文:中村京子
写真:武田香織、生駒市広報広聴課、中村京子

今回の取材で使ったカメラ・レンズ
Camera:
OM-D E-M1 Mark III
Lenz:
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO


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