解説!鳥の鳴き声図鑑#011 ~鳥のさえずり聞き比べ~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。4月に入り、鳥たちは繁殖期真っ最中。オスからメスへのラブソングである「さえずり」が頻繁に聞かれるようになってきました。さえずりは種によって様々ですが、中にはよく似た鳴き声を出す種もいます。そこで今回は聞き分けが難しい種をピックアップし、行動や生息環境も含めて徹底的に比較してみたいと思います!
キビタキvsオオルリ
■鳴き声の違い
声質が似ており両種とも澄んだ美しい高音ですが、鳴き方に違いがあります。
まずキビタキは全体的に軽やかなリズム感で、「ピルリ♪ピッコロリ♪ピッコロリ♪」と転がすような鳴き方です<【鳴き声比較】オオルリvsキビタキ(0:28~)>。一方オオルリは「ピールーリー♪ポイピーピピ♪」というように伸ばす音を多用しながら、複雑な節回しで鳴きます<【鳴き声比較】オオルリvsキビタキ(0:02~)>。
そして一番の識別ポイントは語尾。オオルリは語尾に「ジジッ」という電子音のような濁った音がつきます<【鳴き声比較】オオルリvsキビタキ(1:14~)>。ただこの音は出さない時もあったり、遠くだと聞こえづらかったりするため、全体的な印象も併せて判断するといいですね。
■行動の違い
キビタキは茂った木の真ん中くらいの高さの横枝に止まって鳴くことが多く【鳴き声比較】オオルリvsキビタキ(2:18~)>、枝から枝へと移動するため飛び立った際に見つけやすいです。一方オオルリは木の天辺など目立つ場所に止まり、数十分以上同じ場所で鳴き続けることが多いです<【鳴き声比較】オオルリvsキビタキ(2:01~)>。
■生息環境の違い
両種とも森林に生息していて同所的に見られることもありますが、好む環境はそれぞれ異なります。まずキビタキは平地~低山に生息していて、市街地近くの雑木林や自然公園、寺社林など身近な場所でも見られます。一方オオルリは平地~亜高山帯に生息していて、渓流や湖沼など、水場に隣接する林で見られることが多いですね。
ホオジロvsホオアカ
■鳴き声の違い
ホオジロは「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)♪」の聞きなしで知られる通り、独特の節回しが特徴。澄んだ美しい声質で、全体的に軽快で滑らかな印象ですね<【鳴き声比較】ホオジロvsホオアカ(0:04~)>。一方ホオアカはリズム感こそホオジロと似るものの、「チョッ、チッ、チョチチョチッ」というふうに区切りがはっきりとしています。また所々濁った声が混じり、スズメの鳴き声にも少し似ていますね<【鳴き声比較】ホオジロvsホオアカ(0:35~)>。
■行動の違い
両種とも目立つ場所でしばらく鳴き続けますが、止まる場所が異なります。ホオジロは草や木の天辺など目線より高い場所、ホオアカは岩や丈の低い草花の上など目線かそれより下でさえずっていることが多いですね。
■生息環境の違い
ホオジロは平地~山地の木がまばらに生えているような開けた環境を好みます。草原から河川敷、公園や里山まで幅広い環境で見られますね。一方ホオアカは生息域が限られていて、春~夏にかけては山地の草原で見られることもあります。ホオアカの生息域ではホオジロも見られることが多々あるため、注意したいですね。
さて、いかがだったでしょうか?鳴き声を聞き分ける際は、鳴き方の特徴だけでなく、行動や生息環境の違いまで把握しておくと検討をつけやすいですね。今回ご紹介した特徴を手掛かりに、ぜひ聞き分けに挑戦してみてください。
また今回キビタキの撮影では、レンズM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROを使用。キビタキのように暗い林を好む種でも、映像のざらつきが少なくクリアに撮れて大満足でした。早朝の林内など暗い環境下ではM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO、登山など長距離を歩く場合は小型軽量のM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISというふうに、状況に応じて使い分けてもいいかもしれませんね。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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