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ながはまバードフェスティバル2022 体験記

【わたしのまちとカメラ Vol.013 長浜ローカルフォト #005

長浜ローカルフォトの川瀬です。
2022年12月17日(土)・18日(日)の2日間、滋賀県長浜市の湖北野鳥センター、琵琶湖水鳥・湿地センターにおいて「ながはまバードフェスティバル」が開催されました。
主催は同センター、協力OMデジタルソリューションズ株式会社。長浜ローカルフォトもイベントをサポートしました。2日間のイベントを、1日目を川瀬が、2日目を山内がレポートします。

水鳥の楽園「長浜市」 - 川瀬智久

びわ湖の原風景と呼ばれる長浜市内のびわ湖岸は、魚や水生生物の宝庫で、これらを餌とする鳥たちがたくさん集まって来ることから、「水鳥の楽園」と呼ばれています。特に秋から冬にかけては、コハクチョウや国の天然記念物に指定されているオオヒシクイ、そして国内最高齢で「山本山のおばあちゃん」として親しまれているオオワシなど貴重な鳥たちが飛来して賑やかになります。

会場前にある美しいびわ湖の原風景
コハクチョウが寝蔵から餌場へ飛び立っていきます

1日目【2022年12月17日(土)】 - 川瀬智久

トークイベント「鳥を探して旅にでること」

17日イベント当日の午前中は、写真家の菅原貴徳さんを講師に招き「鳥を探して旅にでること」をテーマにトークイベントを開催。
菅原さんは、11歳で野鳥撮影を始め、大学時代に海洋学、海鳥の生態を学び、2017年から写真家に。これまでも世界32か国を巡り、野鳥の暮らしぶりを撮り続け、図鑑や雑誌などへの写真提供ほか、写真展の開催、撮影テクニックを教えたり、講演活動をされたりしています。
今回の講演では、国内外問わず野鳥に会いに巡った撮影秘話を中心にお話しいただきました。特に、野鳥を自分で探すことが楽しみであり醍醐味との思いから、ガイドもつけず、現地までの交通手段のみ事前に調べ、あとは現地に行ってから鳥の棲む場所の詳細やそこが安全に行けるかどうかを2、3日かけて感覚をつかむそうです。貴重な鳥を見つけるために、日本人が誰一人行ったことのない島で、ホームステイしながら巡ったこともあったそうです。

たくさん受講に来られました。中には県外からも
講師の菅原貴徳さん

親子野鳥観察・撮影体験会

午後は、菅原さんともに親子野鳥観察・撮影体験会でした。
最初に撮影についてレクチャー。まずは鳥の見つけ方としては、特に声がしているところに注目し、いきなりカメラを覗くのではなく、双眼鏡を使ったほうが見つけやすいこと。初心者は水辺の野鳥が撮影しやすいこと。そして、鳥の警戒を解くために、しゃがむなど、鳥から見て自分が小さく見えるようにすることなどコツを教わりました。
撮影は、飛んでいるシーンと止まっているシーン別にあらかじめ設定したOM SYSTEMのミラーレス一眼カメラを使ってのぞみました。

好奇心旺盛なお子さんの熱心に聞く姿に感心します
ローカルフォトメンバー竹中さんも教えています

あいにくの雨で、鳥もなかなか見つからない状況でしたが、湖岸まで出かけ、オオヒシクイの飛んでいるシーンやアオサギの止まって休んでいるシーンを見つけ、ファインダーに収めていました。

外へ出かけて実際に野鳥を撮ってみました
うまく撮れるかな
今だ!シャッターチャンス
「上手に撮れたね!」「やったー」と親子の声が聞こえてきそうです
菅原さんが撮影した野鳥を野鳥センターの植田所長が解説

鳥の暮らしぶりを撮ること

午前午後の講演や体験を通じて、特に印象に残ったこととして、菅原さんが鳥の撮影で特に大切にしていることは、「鳥の暮らしぶりが見えてくる写真」を撮るよう心掛けていることです。鳥がどういった行動をとるか、またその暮らす背景はどんなところかなどの情報を1枚の写真に収めていくこと。そのためには、撮影時は鳥に無視してもらえるよう撮影に気をつけるそうです。場合によっては、水辺にいる鳥を撮るために、水に首まで浸かって撮ることもあったそうです。
その心がけの背景には、「鳥の生活しているところにお邪魔するわけですから、例えば撮影後に鳥が神経質になり営巣を放棄してしまったなど、後で撮った写真を見て、鳥に後ろめたい思いを残したくない」という思いがあります。
鳥の暮らしぶりを撮影することは、長浜のローカルフォトが目指す地域の暮らしぶりのわかる写真を撮ることに通じており、両者とも写真の力を活用して「そこに住む環境を守っていくこと」につながっているのではと感じました。

2日目【2022年12月18日(日)】 - 山内美和子

野鳥観察会・撮影講座

イベント2日目は「野鳥観察会・撮影講座」が開催されました。
講師には、イベント初日に引き続き写真家の菅原貴徳さんをお迎えし、県内外からお越しいただいた7名の参加者とともに講座が始まりました。

講座では、今回撮影機材を貸出されるOM SYSTEMのミラーレス一眼カメラ「OM-1」と100-400mmの望遠レンズが各席に準備され、初めてカメラを手にする方や、普段からユーザーとして撮影している方々がそれを目にした時の反応も様々でした。
菅原さんによる撮影のレクチャーでは、カメラの「鳥認識AF」の機能で撮影した写真がモニターに映し出され、鳥の躍動感とその美しさを捉えた一枚一枚に見入ってしまうほど。このあと撮影にのぞむとあって、菅原さんのように野鳥を上手く捉えることができるだろうか、という気持ちからか、思わず「撮れるかな・・・」と心の声が漏れる場面も。

講師の写真家・菅原貴徳さん
カメラ設定と撮影のコツを教えてもらいました。

今回カメラには、あらかじめ止まっているシーンと飛んでいるシーンに合わせた撮影設定がされていたので、それを聞くとホッとされた表情の方も。野鳥などを撮り慣れない方や難易度が高い撮影の時に、こうした機能はとても便利ですね。
レクチャーの後は、いよいよカメラを抱えて外へ。
湖北野鳥センター前の湖岸沿いには、美しい琵琶湖の原風景が続いています。この日は冷たい北風が吹き荒れて琵琶湖も白波が立ち、目の前に見える竹生島は、時折やってくる吹雪にすっぽりと姿を消してしまうような1日。そんな気まぐれな天候の中でしたが、撮影に出かける時には、斜めから射す冬の日差しが湖面をキラキラと照らし、冷たく痛いようにも感じる北風を受けながら野鳥の姿を求めて歩きました。

琵琶湖の中でも「昔から変わらない」と言われる湖北の景色
どんな野鳥に出会えるかな?と、辺りをよく見回します

鳥の群れを見つけたら、人の姿で驚かさないよう姿勢を低くし、物の影からそっと覗くような体勢にして撮影するのがコツと教えてもらい実践。コハクチョウなどの姿を捉えることができました。

群れを見つけました!姿勢を低くして木々の間から撮影
水浴びをするコハクチョウ
撮影中の菅原さんをパチリ 安定感があります

風が強く、木々に休んでいる小さな野鳥の群れを観察したり、空高く旋回するトンビを追ったりもしました。被写体が小さく、その飛ぶスピードの速さについていけないこともありましたが、菅原さんにアドバイスを受けたりしながら、受講者の方達も楽しんでいる様子でした。

撮影した写真を見て「凄い!」会話が弾みます
ジッと待っていると飛び立つ瞬間がやってきました
野鳥観察・撮影会を終え、写真の説明をする菅原さん

撮影会の後はセンターに戻り、実際に菅原さんが撮影した写真を見ながら解説していただきました。撮影時には、被写体と余白のバランスを考えながらシャッターを切ること、また、空の色味を綺麗に残せるような設定をするなど、あらかじめイメージしてシャッターを切ることを大切にしていると話されました。菅原さんの撮影スタイルでもわかるように、ファインダーを覗く際、片目は閉じずに鳥の位置を確認しながら撮影するといった、誰もが実践できるアドバイスをいただきました。
今まで数々の自然の中で鳥の姿を追い続け、美しく力強い生命力を感じる写真を撮影してこられた菅原さんですが、今回の撮影会で感じたことは、鳥に対するリスペクトの気持ちです。人間と自然の共存がうまくいかなければ、この琵琶湖にも世界中から鳥は飛来して来ず、その愛くるしい姿を見ることや、季節の楽しみとして私たちも待つことはできません。
私たちは、この豊かな琵琶湖の環境を守り続けることで、鳥たちが安心してその姿を見せてくれることに、感謝の気持ちを持たなければいけないと改めて気付かされました。
私たち長浜ローカルフォトも、写真でできることの一つとして、湖北にはこうした貴重な資源があること、残していくべき暮らしや風景がたくさんあることを発信していきたいと思います。

今回の取材で使ったカメラ・レンズ
Camera:
OM-D E-M1 MarkⅢ(竹中、山内)
OM-D E-M1 MarkⅡ(川瀬)
OM-D E-M5 MarkⅢ(山内)
PEN-F(田中)
Lenz:
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO(川瀬)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(川瀬)
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(竹中、山内)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO(山内)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3(山内)
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R(田中)
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(田中)

文:川瀬智久、山内美和子
写真:川瀬智久、竹中昌代、田中仁、山内美和子

湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センター
http://www.biwa.ne.jp/~nio/

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