解説!鳥の鳴き声図鑑#015 ~夏の高山は鳥がいっぱい!~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。8月に入り、あまりの暑さで野鳥たちは木陰に隠れてしまっているのか、なかなか姿を見かけなくなってきました。そんな真夏でも野鳥が活発なのが、高山。8月下旬、標高2700m越えの高山は気温13℃前後と肌寒く、低地とは別世界が広がっていました。今回は、そんな高山に特有の鳥3種をご紹介します。
カヤクグリ
まず、ハイマツに止まって鳴いているのは…カヤクグリです!<カヤクグリの鳴き声(0:05~)>
チチチ…と鈴のような高音で、虫に似たか細い鳴き声です。
全身茶色で、全長14cmとスズメサイズ。あまり目立たない見た目ですが、実は日本にしかいない固有種です。
しばらく登山道を進んでいくと…岩の上で別の個体を発見!<カヤクグリの鳴き声(0:27~)>数メートルの近さでしたが、こちらのことはお構いなし。どうやら羽繕いに夢中のようです。他にも地面に降りて、草の種子を食べている様子が見られました。<カヤクグリの鳴き声(1:02~)>
カヤクグリは春~夏は高山で繁殖し秋~冬になると暖かい平地で越冬する、季節によって国内を移動する「漂鳥(ひょうちょう)」です。夏山でこそ人目のつく場所によく出てきますが、越冬中は茂みや藪(=カヤ)に隠れて潜むことから、「茅潜(カヤクグリ)」の名がついたと考えられています。
イワヒバリ
続いて、岩の上でじっとしているのは…イワヒバリです!<山は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(3:32~)>
全長18cmとカヤクグリよりも一回り大きく、ぱっと見地味に見えるものの近くで観察すると頭は灰色、お腹は茶色でクチバシの基部が黄色と、実におしゃれな色合いです。
また「ヒバリ」と名前につきますが、ヒバリ科ではなくイワヒバリ科に属します。どうやら鳴き声が名前の由来となったようで、繁殖期にはヒバリに似たバリエーション豊かな長いさえずりを響かせるそう。ぜひ一度聞いてみたいですね。
イワヒバリはハイマツ等の木に止まることは少なく、岩場に止まっていたり、地面をゆっくり歩いていたりすることが多いです。カヤクグリ以上に警戒心が少なく、じっくりと観察することができましたね。
ホシガラス
最後に、低木に止まっているのは…ホシガラスです!<山は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(5:55~)>
焦げ茶色の体に白い斑点と、星空のような模様が名前の由来。全長35cmと、山でよく見るハシブトガラス(全長57cm)と比べると半分ほどの小ささです。
しばらく観察していると、松ぼっくりの種子を器用に取り出して飲み込み…岩場の茂みに吐き出して、隠しました!<山は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(6:21~)>これは「貯食」と呼ばれる行動で、ホシガラスの場合、晩夏~秋にかけて主にハイマツの種子を隠して貯蔵し、必要な時に掘り出して食べます。食べ物が限られた高山での、生き残る知恵なのかもしれませんね。ただ、隠した種子の1~2割は掘り出すのを忘れられ、やがて芽吹きます。つまりハイマツ側も食べられるばかりでなく、ホシガラスに種子を遠くまで運んでもらって分布を拡大することができるというわけです。まさに、持ちつ持たれつの共生関係ですね。
さて、いかがだったでしょうか?夏の高山では野鳥たちが特殊な環境の中でも工夫して懸命に生きる様子が見られました。ぜひ皆さんも、行動までじっくりと観察してみてくださいね。
また高山での撮影では、OM-1の防塵防水機能が大活躍。山では天気が変わりやすく、突発的な激しい雨にさらされることが多々ありましたが、今まで一度も壊れたり不具合が出たりすることなく使えています。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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