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中山 基司 写真展「箱庭のモラトリアム」

 いつも電車から望むことができるプールを見ることは、日課の様になっていた。
電車から見える時間は僅かだけど流れていく景色の中でプールのある空間は強く輝き脳裏に焼き付くような感覚だった。
住宅が敷き詰められている都市部の住民にとってはプールの存在は憩いを与える貴重な空間だった。プールは水の色が変化し月日の経過を気づかせてくれる。
そして濁った水が再び輝きを戻すことがないことで、プールが取り壊されることを知った。
プールは広い公園の大部分を占めていたことが取り壊されていく姿を見て把握することができた。
その傍にあった桜や小さなベンチは無くなりレイアウトがリセットされていった。ガランとした土地は静かに休んでいるように見えた。
何もない空間を見ることができる時間はとても短く感じたが、プールがあった記憶の余韻に浸る時間には十分だった。
この土地にとっても僅かばかりの憩いの時間のように見えた。
やがて工事が着工し資材が何層も折り重なり、いつも見ていた空間が閉ざれていく。
新しい建物は車窓から見える景色の中に溶けていくような感覚で通り過ぎていった。

カラー 40点


■期間

2024年6月27日(木) ~ 7月8日(月)10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで
※休館日7月2日(火)~ 3日(水)入場無料

■作家プロフィール

中山 基司 -なかやまもとじ-
 
1980年 神戸市生まれ
日本写真映像専門学校映像クリエイション学科卒業

写真展
2016年 「Dear heaven」コニカミノルタプラザ 
2020年 「非点観測」 アイデムフォトギャラリーシリウス

■会場

OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)

●営業時間
10:00~18:00
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業

●所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F
電話番号:03-5909-0190

●アクセス
新宿駅西口から徒歩5分
新宿西口地下ロータリー左側の地下道を都庁方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。

都営地下鉄大江戸線都庁前駅から徒歩4分
B1出口から地下道を新宿駅方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。


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