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【審査結果発表】若手写真家支援写真展 Limelight 2024 

2024年9月15日締め切りののち、OM SYSTEM PLAZAにて、写真家中藤毅彦氏、田川梨絵氏の両審査員によりLimelight2024の審査が行われました。
回を追うごとに応募者も増加し、良い作品が多数寄せられました。Under40部門/Under30部門それぞれ最終選考に残った作品の中からからグランプリが決定。審査結果を発表いたします。


Limelght2024 審査結果

■Under40部門 グランプリ

平良 博義 「ぞめき」

◆講評
◇田川梨絵審査員
全体的に面白いのと、作品の中からお祭りの「熱気」と「熱狂」というくらいの「熱」を感じることと、人の中に潜む「人間臭さ」とか「えぐみ」とかそんなものが全体から感じられて面白かった。展開もすごく面白いし、完成度もダントツ高かった、というところで選びました。

◇中藤毅彦審査員
今日見た力作ぞろいのポートフォリオの中で、圧倒的にこのポートフォリオのブック自体が発している熱気が突出して強いものがあったという、理屈抜きの理由で選んだ。人の醸し出す「熱」のなかに自ら飛び込んでそれを的確に写真化するスナップ力が飛びぬけている。お祭りや踊りの写真それぞれ素晴らしいが、その中に阿波踊りの連の偉い人なのか、お葬式が入っているのが流れの中ですごく大きなポイントになっていて、人の「死」というのが踊りの熱に変化していく。そこが作品の肝になっているのではと思う。また、最近の日本の都市は無機的でクリーンになってしまったが、この写真からは日本人の原点みたいな泥臭さ、トランス状態になって踊るシャマニズムというか、そういう我が国の核の部分にあるシャーマニックな力みたいな物をこの写真から感じる。人間の顔が強烈な「顔力」を発揮しており、こういう人たちがまだいるのがまだ捨てたもんじゃないなと思います。平良博義氏の他の作品は以前から知っていたが、この阿波踊りの作品をまとめて見るのは初めてで大変驚いた。
 
◇最終選考ノミネート作品(50音順)  ※印 次点
 ・熊田 幸夫  「LIFE」
 ・阪根 浩平  「透明な壁」
 ・鈴木 大斗  「General Emptiness」
 ・平良 博義 「ぞめき」・・・グランプリ作品
 吉田祥平   Neighbors(ネイバーズ)
 ・和田 拓海  「灯火-Northern Vietnam」

■Under30部門 グランプリ 

川島 桃香 「花葬/人間に愛されなければ今もまだ生きていただろうか」

◆講評
◇中藤毅彦審査員
最初ファイルを見たときにはまだよく分からなかったが、このタイトルと文章を見ると読めば読むほど面白く、もう一回写真を見るとなんかじわじわとどんどん効いてきて、どうも捨て難い。
これを見てみたいなっていう気持ちがふつふつと沸き起こってくるので、写真と共に言葉ありきの作品であると思う。この文章はいわゆるステートメントっていうようなものじゃなく、言葉と写真とが合わさってひとつになった作品ななのではないかという気がする。展示の際はこの文章をどう見せるかっていうところが一つの鍵になるのではという気がする。そこをちょっと工夫した展示にしてほしいという感じがする。マルチアーティストなのだと思う。言葉が響きあった作品の展示というのがあってもいい。

◇田川梨絵審査員
 まずは文章力に凄く惹かれました。作品を見た時に不思議な感じ、何なんだろうっていうところがまず出てきてその途中でこうステートメントを読んでいくとステートメントの世界観に結構引っ張っていかれた。その上でこう作品を見ていくと、なんかじわじわとした面白さ、なんかどんな人なんだろうどういう人がこういう思いに立ってこうこういう思考に至っているのだろう、みたいなところをすごく興味をそそられてこれをじゃあどう展示するのかっていうのを見てみたいなって思わされた作品だった。ステートメントは論文のよう。ステートメントじゃなくてあの作品レベル。展示を楽しみにしています。

◇最終選考ノミネート作品(50音順)  ※印 次点
・川島 桃香 「花葬/人間に愛さなければ今もまだ生きていただろうか」・・・グランプリ作品
・佐藤真優 「ゆめのまち」
・高野 光 「散策」
・LI QIRUI 「故郷への旅」

■総評

◆Under40部門
◇中藤毅彦審査員
さすがにメインギャラリでやろうっていう気概のある人たちだけあって、非常に力の入ったポートフォリオが多かったと思う。それぞれに全員とは言わないが、十分にあのギャラリーで展示するのに値する作品の人が何人もいた。
その中でもやはり阿波踊りの平良さんの作品は一つ頭を飛び抜けた熱量を発揮していて、やはりすごいエネルギーの写真展になるだろうなというのがブックからも発散している「気」があったので、今回のグランプリを獲得するにふさわしい作品だったと思う。他にオランウータンのコミュニティを撮影した吉田さんの作品もやはり何かしらの形で大きな展示にいずれ結び付くだろうなという力を感じさせる作品だった。

それから、ステートメントが観念的過ぎて分かりにくいものがいくつか見受けられたかなという気がする。あまり難しく考え過ぎてしまうと言葉が先走ってその言葉の部分に作品自体の力が追い付かなくなったりするようなこともあると思う。結局やはり写真自体の発する「熱」というか「気」が強いものがやはり写真の一番の醍醐味であって、言葉がうまく響き合えばいいのだけど先走り過ぎると頭でっかちになってしまうような所があると思う。そこはちょっと注意してほしい。あくまでも写真ありきだと思うので。

◇田川梨絵審査員
見ごたえのある作品がたくさんあってその中でもやはり平良さんのパワーというか、送られてきた作品の量もそうだが、イメージ力や観る側を惹き付ける力があってグランプリに選出された作品だと思う。「ぞめき」というタイトルのセンスもすごく光っていて、展示が楽しみ。そして吉田さんのオラウータンの作品も展示で見てみたいなと思わせる面白さ、引き込まれる作品の力というものがあったなと思う。
 今回もチャレンジ的な作品がいくつかありました。今、写真というもの自体の「枠」がすごく曖昧になってきていて、何が写真なのか・どこまでが写真なのかというところの境界線がすごく曖昧だと思うが、そこにチャレンジしているような作品があり、とても楽しく審査させてもらった。ただそれを形にしていく為には、もう少しブラッシュアップが必要だなというものありました。「人に見せる」という事を視点に入れ「作品」を仕上げて行って欲しいと思います。


◆Under30部門
◇中藤毅彦審査員
U30の方は若さが感じられる作品が多く、完成度という面で言うと中国の故郷をとらえていたLIさんが抜群だったと思うが、それと別の未知数の可能性というか、どんな展示になるか、突拍子もつかない何かを期待させる川島さんの何か新しさちょっと今まで見たことがない面白い言葉と写真が響きあうあの作品の原石の可能性の方に賭けて選んだ。他の作家さんでも団地の写真を撮っている佐藤さんだったり、散策の高野さんの映像センスだったり、光るものを感じた。あと鉄道写真で水の中から撮るとか、そういう無茶なことをするのもとても若さで新しい鉄道写真をこれから切り開いていくのかなという未知数の可能性を感じた。

◇田川梨絵審査員
 振れ幅が広くて凄く面白かったなと思う。グランプリの川島さんはいい意味で期待を裏切ってくれたっていう作品でした。これが展示されるとどうなるのだろうという分からなさ、分からないものを見たいという感情をくすぐられたことがグランプリに選出された1つの要因だと思う。LIさんも丁寧に作品を仕上げられて甲乙つけがたいところですごく悩んだ。全体で言うと結構丁寧に作られている方が多く、好きなものに一身に行く若さというものを感じたし、それとは違い理路整然と作っているものもあったなとも思うが、Under30の面白さが全体的に出ていて年齢の面白さというものをすごく感じて良かったなと思う。

Limelight2024 グランプリ受賞者の展示予定

2025年3月20日(木)~3月31日(月)
※3/25(火)・26(水)休館 10:00-18:00 最終日15:00まで

 Under40部門 OM SYSTEM GALLERY
 Under30部門 OM SYSTEM PLAZA クリエイティブウォール



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