はじめまして、岡崎カメラです。
はじめまして。岡崎カメラの山崎翔子です。
私は2015年に愛知県岡崎市に引っ越し、現在は「Micro Hotel ANGLE」のスタッフをしながら、自分のお店も運営しています。そんな仕事のかたわら、岡崎の都会でも田舎でもなく新旧がちょうどよく入り混じる、日常の風景や人々の営みを撮影して発信しています。
今回が岡崎カメラとして最初の記事になるので、まずは私たちの自己紹介から始めさせていただきます。
私たち「岡崎カメラ」は、カメラを片手に岡崎のまちの人と交流を深めながら、主に暮らす人に焦点を当てて「撮る人・撮られる人・その写真を見る人」それぞれの中で、人や場所やコトに対する「好きの循環」が起こることを目指して活動しています。ここがすきだと思って撮った写真は、撮られる側も嬉しく、それを見た人もいいな、行ってみたいな、と思ってくれるはず。そうやって私たちと同じように、岡崎のまちがすきな気持ちが連鎖していけばいいなと思っています。
「岡崎カメラがっこう」から「岡崎カメラ」に
岡崎カメラのはじまりは、2018年から2年実施された地域の魅力を地元の人が見出す「岡崎カメラがっこう」という市民講座です。
岡崎市広報課主催のシティープロモーションの一環だったこの講座は、写真家のMOTOKOさんが提唱する「ローカルフォト」の手法に基づいたもの。一眼カメラを持っていないメンバーは、オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)より最新ミラーレス一眼をお借りして講座を受けました。
カメラスキルを学ぶのではなく、カメラをツールにまちを知って伝えていくという内容に共感したメンバーが、その後も継続して活動したいと集まり、2020年以降「岡崎カメラ」として活動をしています。メンバーは市内外問わず、岡崎が好きな10代から40代の男女が半々所属し、15名程のグループになっています。
OZマガジン連載
チームとして動いた最初の大きなプロジェクトは、2020年。雑誌『OZ Magazine』内で『暮らし観光郵便局』隔月連載を任せていただいたことでした。いわゆる観光スポットの紹介ではなく、暮らしているからこそ伝えられる岡崎の魅力を、読者へ向けた手紙形式の記事にしていきました。オズマガジンの編集長やMOTOKOさんにも助けていただきながら、お店選び・取材依頼・撮影・文章を私たちでおこないました。取材でお店などにうかがうことで、少しずつまちの人との関係性を育んでこれたから、よりまちが楽しくなり、お互いに応援をし合うようにもなりました。
この取材を通して「住んでいるからこそ撮れる写真があって、それを発信するだけでいいのだ」と実感を持ってわかったことは、みんなにとっても私にとっても、とても大きな体験になりました。私自身、まちとどうやって関わっていけばいいのか悩んでいた時期で、このまちが好きだという気持ちはあっても、自分に何ができるかわからなかったので「技術よりも想い」というのは救われる思いでした。
MUJI展示
2021年10月には、無印良品 名古屋名鉄百貨店の店舗内にあるイベントスペース「Open MUJI」で写真展を開催。「暮らしを観光する」というタイトルのもと、メンバー18名による35作品を展示させていただきました。昔ながらのお豆腐屋のご夫婦、和ろうそく屋の女将などの人の写真をはじめ、公園や川沿いの、ふとしたまちの日常を切り取り「人も含めた日常の、私たちが愛おしいと感じた風景を旅してもらえるような展示」を目指しました。
岡崎の魅力を名古屋で伝える場になったのはもちろん、岡崎からもたくさんの人が足を運んでくれて、地元愛が深まる写真展になりました。また、全国各地の同じ思いを持ったローカルフォトの仲間たちも来てくれて、横のつながりも感じられる機会にもなりました。展示というカタチになって初めて、自分たちが頭の中で思っていた好きなものや、お店に対する愛が写真を通して見えるようになる、知ってもらえる、という経験と共に、市内のクリエイター陣をはじめ、いままで関わってくださった全国の方の応援を感じました。
岡崎のまちと私
人の顔が見えて、住み心地のいい岡崎。
駅を降りてすぐ見える乙川を横切る赤い名鉄電車や、その川沿いにある豊かな緑、ランニングをする人や犬を散歩する人の姿。城下町だったからこそ、和菓子に和ろうそくに石工と、伝統を守り繋いできた人たちも、100年以上続く企業や商店もたくさんあります。その一方、リノベーションまちづくり事業も行われ、暮らしを彩る新しいお店を始める人もいる。公共空間のリニューアルもされて、新しくできた木製の橋やリニューアルされた公園がある。そんな新旧がちょうどよく入り混じり、車で少し北にいけば、茶畑が広がる里山もあります。
都会的な文化やサブカルチャーも、便利さもあるのに、自然や伝統や人情味もすぐそばにある不思議さと豊かさ。そんな観光地ではない「暮らし」と「商い」が入り混じった場所だからこそ、岡崎は店の入り口がわかりづらかったり、面白く魅力的な場所が見えづらかったりします。それを知ってもらうきっかけの1つにも写真はなるのだと思います。
そして、岡崎のまちの魅力は本当に人だなと思います。
家族で営んでいるあたたかな洋食屋も和食屋もあるし、友達が遊びに来たら、パワフルで素敵なあの人がつくる美味しいビストロを予約しようと思う。想いのこもった物を愛情を持って伝えてくれる、かっこいい服屋も器屋も花屋もある。
川を橋を公園をまちを愛し、自分たちの先の未来のために自主的に集まっては楽しく掃除をしたり、イベントを起こしたりする人がたくさんいる。このまちに暮らす同士だからこそ、他のお店やまちなかで居合わせて、笑ってしまうこともあって、そこに顔がわかる人がいる嬉しさがあります。
活動の変化
そんな日々の楽しい、面白い、素敵だと思うことを撮り続けて発信していく中で、何十年も続いているお店のすごさや、移り変わっていく姿も目に止まるようになりました。建物が老朽化で取り壊しになったり、年齢の関係で惜しまれながら閉店してしまったりすることもあります。もしかするとなくなりそうなものにも目を向け「この瞬間を残したい」「この暮らしが続いてほしい」という願いを込めてシャッターを切るようにもなりました。「まちを残す」という力が写真にはあるし、人の営みが積み重なっているのがまち。そんなことも、活動をするうちにメンバーそれぞれが気づいてきました。
現在は、まちの人からも様々な場面で撮影の依頼が少しずつ来るようにもなりました。メンバーそれぞれが興味のあることを発案し、プロジェクトベースで、関わりたい人がゆるく関わるチームで活動をするように変化しています。
誰がリーダーというわけでなく、ライフステージやいろんな状況の変化でチームメンバーは変わっていってもいい。チームの理念や概念は変えずに、共同体のような新しい形のチームにしたいと思いながら活動しています。
文:山崎翔子
写真:岡崎カメラ
今回の取材で使ったカメラ・レンズ
Camera:
OM-D E-M1 Mark Ⅱ
Lenz:
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
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