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第14回 FOCUS展 セオノリエ写真展「すすきのからす」インタビュー

■写真展情報
会場:OM SYSTEM PLAZA クリエイティブウォール
開催期間:2023年9月14日(木)~ 9月25日(月)

■出展者インタビュー
OM SYSTEM のカメラ・レンズを使って表現力、創造性に富んだ作品を生み出すフォトグラファーに、発表の場を提供するOM SYSTEM PLAZA FOCUS展。OM SYSTEM プロ会員(OMPS会員)からの推薦により、年間2名の展示を行っています。今回は写真家・清水哲朗氏の推薦で選ばれ、クリエイティブウォールで展示したセオノリエさんをご紹介します。

セオノリエ norie seo
北海道生まれ。
近畿大学豊岡短期大学通信教育部幼児教育学科卒。
2016年から「楽しい写真教室」 講師 山本純一 受講中。
個展歴: ニセコ駅前温泉綺羅の湯、道の駅 望洋中山、北見赤十字病院。
その他グループ展多数参加。
受賞歴: 第2回星のある風景フォトコンテストグランプリ、第 44 、 45 回 JPS 展入選など。
2017年より、夜が明け始める頃に すすきの へやってくるカラスのことを知り、興味を持ち撮影を始める。



写真を学んで広がった撮影スタイル

――セオさんが写真を始めたきっかけを教えてください。

2016年頃、ブログに載せるための写真を撮り始めたのがきっかけです。最初は花を撮ったり、飼っていた犬の写真を撮ったりしていたのですが、背景がボケている写真を撮ってみたくなり、90㎜のマクロレンズを買って撮影会や勉強会に参加するようになりました。友人から山本純一先生を紹介してもらい教室に通うようになってからは、撮影スタイルがガラッと変わりましたね。星を撮影したり、フィルターを使って長時間露光をしたり、幅が広がったんです。いろんな人の写真を見るようになり、スナップやポートレートにも挑戦して、撮るのが楽しくなりました。

――「すすきのからす」を撮影し始めたきっかけはなんですか?

友人に『なんでそうなの 札幌のカラス』という本が面白かったよと教えてもらって読んでみると、すすきので暮らすカラスのお話がイラストや写真と一緒にかわいらしく紹介されていたんです。それから撮りたいなと思うようになり2017年から時々撮っていました。今年、清水哲朗さんに作品を見ていただく機会があり、FOCUS展に推薦していただいてからは、ほぼ毎日すすきのに通って撮影していました。

――FOCUS展に選ばれたとき、どのようなお気持ちでしたか。

こんな機会はもう絶対にないと思って、即決で「やります」と答えたのですが、後からこれは失敗できないなと(笑)。撮りたい写真がなかなか撮れなかったり、プレッシャーを感じて焦ったりしましたが、清水先生が「大丈夫、大丈夫」とおおらかに見守ってくださったので、落ち着いて頑張ることできました。


意識しあう人とカラスの関係性

――カラスのどんなところに注目して撮っていますか?

最初はしぐさや表情のかわいらしさに注目していましたが、よく見ているうちに、人とカラスの関係が面白いと思うようになりました。すすきのって朝、酔っ払いの人がたくさんいるんですよ。そういう人たちとの絡みが面白くって。行動が似ているんです。カラスにちょっかいを出す人や話しかけたりする人がいたり、カラスはカラスで電信柱の上からよく人を見ていたりして。酔っ払いの嘔吐物や飲食店の食べ残し、人が与える食べ物などを狙っているんですよ。お互いに意識しあいながら共存しているところが気になりますね。カラスは怖いと誤解されることも多いので、もう少し理解してもらえるようになるといいなと思います。

――撮影はどのようにされていましたか?

日の出の1時間くらい前に家を出て、朝8~9時頃まで2か月半の間、毎日のように撮影していました。カラスを探しながら歩いたり、撮りたい場所に何回も行ってカラスが来るのを待ったり。雨の日の写真を撮りたかったのですが、なかなか朝に降ってくれなくて。降った日は頑張って撮影しました。1回の撮影でかなりの枚数を撮影するので、データをためてしまったら大変です。帰ってきたら必ずパソコンに入れてチェックしていました。修行のような日々でしたね。


すすきのの街と好奇心旺盛なカラス

――展示作品について教えてください。

この写真はすすきのの交差点にあるニッカウヰスキーの看板とカラスを撮影した写真です。すすきのらしいこの場所でどうしても撮りたくて、毎日通って撮りました。顔の部分にカラスが被ってしまうとわかりにくいため、画角を決めて、ちょうど背景の白い部分にカラスが来てくれるのをずっと待っていました。写真展のDMの写真に使いたいと思っていたので、撮れるまで焦りましたね。

この写真はゴミステーションのカラスです。右下に鳥よけ対策のオブジェが付いていますが、全然気にしないで奥の方まで入っていくカラスもいます。でもカラスにも性格があり、左手前のカラスは怖がって入れないんですよ。

このカラスは近づいても逃げずにかわいかったです。50センチくらいの距離でしょうか。足環をつけていたので、1度保護されたカラスだと思います。それで人に慣れているのかもしれません。

鏡に映っているのが自分だとわかってないハシボソカラス。不思議そうに首をかしげたり動いたりしながら、鏡に映った自分を見ていました。

札幌のラーメン横丁は夜になると看板やちょうちんに明かりがついてきれいな通りなのですが、なかなかその時間にカラスが来てくれません。全部明かりが消えてから、ようやく1羽来てくれて撮れた写真です。


季節を取り入れながら、撮り続けたい

――セレクトや展示構成はどのようにされましたか?

バリエーションが出るように、雨の日の写真や飛んでいる写真、広角レンズで撮ったもの、色味のバランスに気を付けるなど、清水先生にも相談しながら何回もやり直しました。テンポよく全体がまとまるように心がけました。

――今回はOM-1で撮影されたそうですが、いかがでしたか?

軽くてコンパクトなので、疲れずに撮影に集中することができました。目立たないので助かりますね。40-150mmの望遠ズームレンズで撮ることが多かったです。AI被写体認識AFで鳥を選ぶと、1度カラスを認識したらその動きに合わせて追ってくれるので、便利でよく使っています。

――展示を経て気づいたこと、感じたことはありますか?

清水哲朗さんの「トウキョウカラス」と同時開催だったので、普段見てもらえない方にもたくさん見てもらうことができてすごく勉強になりました。清水さんの東京のカラスと比べて、「すすきののカラスは人懐っこいのが多いんだね」と距離感の違いについて感想を頂いたりしました。

――今後の目標について教えてください。

今回は写真展に向けて、今までとは違う撮り方も試しながら短期間に集中して撮影したので、これからは冬の写真など季節も取り入れながら、しばらく1年くらい通ってたくさん撮りたいなと思っています。そしてまた、ギャラリーで個展できたら嬉しいです。

会場に置かれていたブック

文:安藤菜穂子
写真:竹中あゆみ

■過去のFOCUS展インタビュー

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