カメラがつなぐ、人と街の歓び。- 山内美和子
さてさて、皆さまこんにちはです♪”写真でまちを元気に!”をモットーに活動している「長浜ローカルフォト」メンバーの田中仁です。メンバーの紹介をさせてもらっている5回目となる今回は、長浜ローカルフォトの副代表を務める山内美和子さんをご紹介いたします。
個性的なメンバー揃いの長浜ローカルフォトの中でも副代表の山内さんは、特産品販売員として勤務。さらに地元のまちづくり団体にも所属し、長浜市の地域活力プランナーや学童支援員、図書館理事を熟す傍ら、4人のお子さんを育てる一際アクティブ感あふれるママさんフォトグラファーです。
やっぱり写真がすき。
地元長浜に生まれ、結婚後は仕事と子育ての毎日、趣味といえばたまにサーフィンなどのアウトドア。平穏な暮らしの中で、ある日、写真が上手な園の役員さんや保護者さんに撮ってもらった幼稚園の運動会写真がとても綺麗だったことに感動したという山内さん。
「1枚の写真でこんなにも幸せな気持ちに満たされるなんて、やっぱり写真がすき。」
私もこんな風に撮りたい!と言う思いから、子どもの入学に備えて初めてのデジタル一眼レフカメラを購入したのが始まりだそう。「そういえば元々、父親の影響で昔からカメラ好きで、高校生の頃から父親のフィルムカメラやコンデジ・インスタントカメラなどを使って撮っていたな」と、昔からカメラと縁があったことを振り返っていました。
長浜ローカルフォトに参加するきっかけと活動
山内さんが以前勤務していたアウトドア施設で企画した写真講座に、当時長浜市広報課で長浜ローカルフォトメンバーの川瀬智久さんが取材にきて知り合ったのが始まり。川瀬さんに誘われ、彼が立ち上げた長浜市の協働事業「長浜ローカルフォトアカデミー」のキックオフイベントに参加。
そこで登壇されたソトコトの編集長 指出一正さん、写真評論家のタカザワケンジさんと写真家のMOTOKOさん、フォトグラファー堀越さんと出会い、MOTOKOさんが語る”地元のローカルヒーローの存在”や、”何気ない暮らしの中の魅力を撮る”という新しいテーマに出会い、交流を重ねるごとに、「写真ってやっぱりいいな」と感じたそうです。
「長浜ローカルフォトアカデミー」のメンバーは選考制でしたが、選考される前から、自分が気付かなかった地元の魅力を発見する写真の世界を学べるかもしれない、という期待がいっぱいで、選考に無事受かった時は本当に嬉しかったそうです。
長浜ローカルフォトアカデミーの活動
地元の木之本北国街道沿いや長浜市内を撮り歩きするのはとても楽しく、地域の人々と交流しながら写真を撮る度に、慣れ親しんだ街が今までと違った魅力に溢れていく気付きを実感。撮影構図の模索や取材のライティングに試行錯誤しながらも、徐々に見えてくる地域の本当の人々の豊かさに歓びを感じ始められました。
福田屋のお父さんたち
長浜ローカルフォトアカデミーの撮影で、とても印象的だったお話を伺いました。
カメラ大好き地元友人の千田さんの紹介で、JR木之本駅前のお食事処「福田屋」に集まる地元のお父さんたちを撮らせてもらうことになり、日本酒やビールでいい気分で賑やかに歓談する輪の中へカメラを持って訪れました。
最初はすごく緊張していたけど、お父さん方に初めましての挨拶を交わすと、「どこから来たんや?」「ワシら撮ってくれるんか?」といろんな質問が飛んできて、他愛もない返答や会話ながらもだんだんと打ち解けて、心の通った素敵な写真が撮れたと感じたそうです。山内さんの撮影した中でも代表的なこの写真は、コミュニケーションが通じ合ったからこそ撮らせても
らえた初めての一枚とのこと。
「地域を伝えたい・・・カメラは新たな関係性を生み出していくもの。見過ごしていた日常に目をとめられるようになり、「気づき」を与えてくれるツール。魅力あるものと分かり、結果、そこに訪れたいと思い人がやって来る。きっとそれを見つけるきっかけは身近にあるけれど、みんなあまり気付かない。人の暮らしや風土・財産など変わらず生活の中に溶け込んでいるけれど、カメラを持ち、人との関わりが持てることで変わっていくと思う。」
山内さんは、カメラを持って地域を外から見ていくと一歩踏み込めると言います。コミュニケーションを重ね、信頼できる関係が築けるカメラは、最適なツールなのでしょう。
2019年、長浜ローカルフォトアカデミーのプロジェクトが終了し、「長浜ローカルフォト」として主体的に活動する市民団体に生まれ変わりました。「副代表」の役目を担った山内さんは、さらに頑張っていかなきゃと思う気持ちが強くなったと言います。
菅並フォトプロジェクト
限界集落でもある菅並集落の自治会長さんは、山内さんにとって古くからの知り合いだったためコンタクトを取ることは心強いと感じていたけど、いざ地域へ足を運ぶと地域の住民には写真に抵抗感がある方が多く、取材は難航しました。それでも地域へ溶け込むくらいの気持ちで何度も通い、徐々に打ち解けてようやく生き生きとした表情の写真を撮らせてもらえて、当初の頃からは想像できないくらい交流が深まりました。
それ以後、フォトプロジェクトが終了しても未だに顔を出しても笑顔で迎えてくれる人がいて、とても豊かな気持ちになります。
金居原フォトプロジェクト
限界集落でもある金居原の、少しずつ自然に還っていく閉山した土倉鉱山の歴史案内と豊かな自然のツアーガイド、森林資源の保全活動や伝承される仏事や神事、昔ながらのごちそうや清掃活動などを、1年を通して取材。私たちを迎え入れてくださる住民の皆さんがとても温かく優しくて、活動を支えてもらっていたと今も感謝の気持ちでいっぱい。
長浜中心市街地と金居原の集会所で開催した写真展には、金居原を離れた方も大勢お越しになり、故郷への熱い思いを語ってくださったことがとても印象的だったそうです。写真の向こう側にある絆が人々を繋げていくと感じました。
尾上フォトプロジェクト
琵琶湖北部にある尾上漁港周辺の暮らしを取材しました。年々漁師の人数が減少する中でも、いにしえからの漁法をアップデートしながら新鮮な湖魚を食卓に届ける美しさ、地域に根ざした郷土料理や鮒ずし作りなど、貴重な食文化の継承がいかに大切かを写真を通して発信できたことが、とても嬉しかった、と山内さんは話します。
長浜曳山まつり
長浜で秀吉の時代から400年以上続く「長浜曳山まつり」の”ハレ”と”ケ”をテーマに取材しました。豪華絢爛なまつりを裏側で支える地域の人達、歌舞伎を奉納する子どもたちの稽古とそれを見守る両親、まつりで街が一つになっていく瞬間を目の当たりにした時、最初は疎遠と感じていた祭りが、撮影するに連れてそれぞれの熱い思いが伝わってきました。
「曳山まつりで好きな写真は、役をこなしてキリッと光る表情もだし、舞台を終えた時に溢れる笑みや、ふと見せる子どもらしいシーン。そのギャップがたまらなく好き。」表と裏を撮影できたからこそ体感できた感動。祭りで生まれる絆の美しさや誇りを写真で伝えたいと・・・
ローカルフォトで変わった人生の岐路
山内さん曰く、「カメラは毎日持ち歩いていて、子供の成長記録・フォトグラファーや仕事用のツールとしても活躍。欠かせない生活の一部。忘れてしまうような些細なことも記録してくれて、見た瞬間にその時の空気感やどんな話をしていたかまで蘇らせてくれると思う。四人の子育てをする日常の中で、カメラを持ってファインダーを除いている時間は自分の至福の時
間。何気ない日常の一瞬を未来に残していくため、思い出としてまた振り返る時のために撮っている。同じ時間は二度とないからという想いがある。頭の中でイメージすることも好きだし、直感的に撮ることも好き。
カメラは撮る人によって変わる色味や空気感があると思っていて、十人十色に映るのが魅力的で面白い。自分だけにしか撮れない写真を大事にしていきたい。」
家族の成長、地域の笑顔、地元産業や伝統文化の魅力・・・山内さんは地域に根ざした元気なスーパーママさんなので、他の人では気付かない埋もれた魅力の輝きを、これからもどんどん写真で発信してほしいと思います♪
文:田中 仁
写真:山内 美和子、田中 仁
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