日常の中にあるキラキラした瞬間を - 太田有紀
こんにちは!小豆島カメラメンバーの古川です。
小豆島カメラのメンバー7人は、仕事や趣味、暮らし方も様々で、写真もそれぞれの視点で切り取られていて多様です。今回の記事では、お祭りを楽しむ地域の人、井戸端会議を楽しむおばあちゃん、凛々しく働く職人さんなど島のいろいろな人の写真をたくさん撮っている「太田有紀」さんを紹介します。
太田さんの写真には、笑い声や話し声が聞こえてきそうな素敵な写真がたくさんあって、なんだかこちらまで楽しい気分にさせてくれます。まるで一緒にその場にいるような感覚にさせてくれるのが彼女の写真の魅力です。
シャッターをきる瞬間は「おもしろい」と感じたとき
学生のころは、日常や旅行の写真を撮ることはあっても、『撮る』より『観る』方が多かったという太田さん。小豆島に戻り、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の福田地区担当として働きはじめ、地域の人たちとの関わりも増えたタイミングで、写真を撮ることが増えたそうです。
「瀬戸芸の時に、アーティストと地域の人たちが共同でやる作業が多くて、面白いことが多かった。みんなで同じことをしているのがおもしろい!いいなぁと思った。盆踊りとかラジオ体操とか福田のおっちゃん達が作業しているとか、こども達が遊んでいる様子とかを撮ることが増えた。
みんなで一緒に何かするときの様子が独特でおもしろい。パワーを感じる。ワクワクしているときとか、疲れてる感じも好き。1人で黙々と作業する職人も好きだけど、みんなでワイワイしている時のワクワクしていたり疲れてはったり、生き生きした表情が見えると嬉しくて写真に収めたくなる。」
自分自身がおもしろい!と感じ、心が動いた瞬間に写真を撮っているからこそ、太田さんの写真からは、その場の楽しそうな雰囲気や笑い声を感じるのだとお話を聞いていて思いました。
島の人はよく食べ物の話をするし、新鮮な食材があふれている
小豆島カメラは、「見たい・食べたい・会いたい」というコンセプトで、私たちの日常の暮らしを発信しています。太田さんはよく美味しそうな食べ物の写真を投稿して、私たちの食欲を掻き立ててくれます(笑)
「食べ物の写真もよく撮っているよね」と言うと嬉しそうに「旬の食べ物大好き!ちょっと食いしん坊なのよね。」と照れくさそうに答えてくれました。
島では自分たちで作ったご飯を食べる機会や、食べ物の話をすることがよくあります。「今トウモロコシが美味しいよ。」「白菜が採れ始めたよ。」「花梨あるよ、いる?」など、そんな中で暮らしていれば、食べ物の写真が増えるのは必然ともいえます。
閉校になる母校で写真のワークショップを!
母校の閉校が決まったとき、太田さんは「こどもたちが通っている間に小学校の様子を撮りに行きたい!」と思い、当時小学1年生の娘さんをもつ小豆島カメラのメンバー三村さんに相談しました。さらにいろいろな人に相談していくうちに、閉校イベントの日、展示に加え子どもたちと一緒に撮影ワークショップをしようという案もでました。小学校の先生やPTAの方とも話し合いを重ね、OM SYSTEM(当時OLYMPUS)、シー・エム・エスにも協力してもらい、2015年3月、渕崎小学校で撮影ワークショップを開催することになりました。
ワークショップでは、カメラを1台ずつ貸し出して、学校の好きな場所や思い出の場所、友だちなどを自由に撮影してもらい、撮影した写真を印刷して「ありがとう渕崎小学校」のオリジナルポスターを作りました。事前に小学校で撮影した写真も教室に展示しました。
「今振り返ってみても、閉校になるまでのカウントダウンを一緒に共有し、小学生が通っている風景を撮影できたこと、ワークショップで撮影を楽しんでもらえたことはいい経験になった。」と太田さんは優しい表情で語ってくれました。
いまそこにある奇跡みたいな、キラキラしたものを撮りたい。
小豆島カメラ結成から9年経ちましたが、あらためてどんな写真を撮っていきたいかを聞いてみました。
「学校は卒業がくる、家族の形も変わる、街の景色も変わっていく、そういうことがすごく寂しく、痛く感じる気持ちがずっとある。その中で、同じときに同じ場所で同じことをするとか、笑いあっていることに生命力を感じるのだと思う。それが、おもしろいし愛おしい。だから、今そこにある奇跡みたいな、キラキラしたものを撮りたい。」
今は、子育て中ということもあり、小豆島カメラの投稿は不定期でお休みのことが多いですが、これからも、どんなキラキラした瞬間を共有してくれるのか楽しみです。
文:古川絵里子
写真:太田有紀、古川絵里子
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