寺下 雅一 写真展 「旅のたまゆら 1981-1988」
今から40年も前、地方のローカル線に揺られて旅ばかりしていた。1980年代。高度成長は安定成長に代わり、やがてバブルと呼ばれる狂奔に向けて社会は坂を駆け上がっていた。鉄路はこの国の津々浦々に伸びていて、生活を支える交通機関として最後の輝きを保っていた時代だったと思う。通学列車を埋めた独特なお国訛りの高校生、大きな荷を背負った行商人、黙々と事務を執る一人きりの駅長さん。美しき国土と共に、カメラはそこに集う様々な人々に吸い寄せられていった。ローカル線は当時の地方社会の在りようを凝