解説!鳥の鳴き声図鑑#020 ~遠征編:奄美の森は鳥がいっぱい!~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。今回は遠征編ということで、年末年始に奄美大島の森で野鳥を撮影してきました。奄美大島は、徳之島・沖縄県北部・西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録。登録地域は計42,698haと日本の国土の0.5%に満たないながら、国際的絶滅危惧種95種が生息し、そのうちの75種が固有種と生物多様性が非常に高い地域です。もちろん野鳥も例外ではなく、奄美大島特有の種や亜種がいくつか撮影できたため、その一部をご紹介します!
ルリカケス
小雨がしとしと降る薄暗い林内。地面でぴょんぴょん跳ねているのは…ルリカケスです!
その名の通り瑠璃色が美しいカラスの仲間で、背や肩、腹などは小豆色、喉は黒く白い縦縞模様が入り、とても繊細な色合いです。世界でも奄美大島とその近接した島にしか生息しておらず、貴重さや美しさから、鹿児島県の県の鳥や、国の天然記念物にも指定されています。
この日は地面でどんぐりを探していたようで、1粒くわえては落とし入念に選んでいますね。<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(2:48~)>また口の中から、どんぐりを出し入れする様子も。<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(2:58~)>喉に蓄えて別の場所に運んで隠し、食べ物が少ない時期の貯蔵食とします(=貯食)。鳴き声は「ジャア♪」と、カケスよりも高くて可愛らしい印象でした<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(2:22~)>。
アカヒゲ
続いて、「クリリ…」とカエルのような声が聞こえてきました。枝の上で鳴いているのは…アカヒゲです!<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(0:32~)>
頭から背中、翼にかけて朱色で、「赤い毛(あかひけ)」が転じて「アカヒゲ」に。オスは顔から胸、脇腹が黒色ですが、メスは白っぽくアンパンマンのドキンちゃんのような色合いです。ちなみに沖縄本島北部には脇腹の白い「ホントウアカヒゲ」が生息しており<写真2右>、長年アカヒゲの亜種とされてきましたが、2024年に日本の鳥類の分類を定めた「日本鳥類目録」が改訂。第8版ではそれぞれが独立種として扱われるようになりました。アカヒゲも国の天然記念物に指定されており、主に男女群島、トカラ列島、奄美大島等に生息する固有種です。雨が降った後には頻繁に地面に降りてきて、落ち葉をガサガサ。<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(1:00~)>好物の昆虫類やクモ類、ミミズ類を探していたのかもしれませんね。
オーストンオオアカゲラ
続いて、地面近くからコンコン…と乾いた音が聞こえてきました。倒木をつついているのは…オオアカゲラ(亜種オーストンオオアカゲラ)です!<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(5:46~)>
オーストンオオアカゲラは奄美大島のみに生息する固有亜種で、本土の亜種と比べると全体的に黒っぽいのが特徴。こちらも国の天然記念物に指定されています。
まずは倒木を色んな角度から叩いてチェック。やがて1点に狙いを定め、同じ個所をつつき始めました。数分後木に穴が開き…ついに幼虫を発見!長い舌で器用にほじくり出して、無事食べることができました。<奄美の森は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(6:52~)>幼虫がいる場所をピンポイントで探り当てることができるなんて、キツツキの能力には驚かされます。もしかすると、木をつついたときの僅かな音や振動の違いを感じ取っているのかもしれませんね。
さて、いかがだったでしょうか?奄美大島に生息する貴重で美しい固有種・亜種の数々やそれらの営みを、肌で感じることができました。今回の撮影では、レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROを使用。曇天で暗い林内でもノイズが少ない上、背景のボケ感も強く美しい映像を撮ることができました。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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