解説!鳥の鳴き声図鑑#018 ~冬の水辺はカモがいっぱい!2~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。11月も下旬に差し掛かり、平地の水辺では越冬のためにやってきたカモ類が着々と増えつつあります。カモ類にとって、冬はいわば婚活シーズン。オスは地味な羽から派手な繁殖羽へと衣替えをし、群れで生活しながら結婚相手を探します。第7回の記事ではカルガモ、マガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、キンクロハジロといった身近なカモ類を取り上げましたが、今回はオスの繁殖羽に着目し、見た目の美しいカモとその生態をいくつかご紹介します!
まるでナポレオン!ヨシガモ
まずは12月下旬、河川の下流でカモの群れを発見。その中でも一際目を引くのは…ヨシガモです!<公園は鳥がいっぱい!野鳥撮影vlog(9:38~)>
オスは光沢のある緑色の頭で、後頭部の羽が長くまるでナポレオンの帽子のよう。首には黒い首輪模様が入り、胸からお腹にかけては繊細な小斑、翼の一部にはカールした飾り羽と、とてもおしゃれですね。このようにオスの見た目が良いことから、ヨシガモと名付けられたという説も。
この日はどうやら、ヒドリガモやオカヨシガモに交じって水中の水草を食べていました。<公園は鳥がいっぱい!野鳥撮影vlog(9:50~)>ヨシガモは地域によっては飛来数が少なく、100羽のカモの群れの中に数羽しか見つからないことも。カモの群れを見つけたら、珍しい種が紛れていないか観察したいですね。
オシドリ夫婦の秘密
続いて12月下旬、ダム湖にて。集団で泳いでいるカモは…オシドリです!<春の庭園は鳥がいっぱい!野鳥撮影vlog(12:45~)>
オスの繫殖羽はとても派手。日本に飛来するカモ類の中では一番カラフルで、オレンジ、白、緑、青、紫など…色とりどりの羽色です。また、翼の一部分がイチョウの葉のような形をしているのも特徴。一方メスは全体的に灰褐色で白い水玉模様が入り、控え目な印象です。
冬のつがい形成期には雌雄で寄り添う姿が見られ、これが仲睦まじい夫婦を表す「おしどり夫婦」の語源となったといわれています。ただ実際はオスは子育てに参加しない上、繁殖期が終わるとつがいは解消され、次のシーズンには再び別の相手を探す、と言われてきました。ただドイツの研究では6年間同じつがいだった例もあり(Mädlow 2018)、つがいが毎年解消されているかについては、長年にわたって調査してみないと分かりません。オシドリが本当に「おしどり夫婦」なのかは、まだ謎に包まれたままです。
オシドリはどんぐりを主食とするため、冬は森林の中のダム湖等で見る機会が多いです。水際の木陰で休んでいたり…時にはマガモやトモエガモと数十羽の群れになっていたりすることも<春の庭園は鳥がいっぱい!野鳥撮影vlog(13:28~)>。ただ警戒心がとても強く気づかれるとすぐに飛び去ってしまうため、驚かさないよう慎重に近づくことが大切です。
まるでピエロ!?シノリガモ
最後に、12月下旬の海岸沿いで見つけたのは…シノリガモです!<冬の農耕地は鳥がいっぱい♪野鳥撮影vlog(9:08~)>
オスは全体的に紺色の身体で、頭や翼の一部はレンガ色が入りまるで「夜明け=晨(しのり)」の空のような絶妙な色合い。さらには至る所に大小様々な白斑が入り、英名Harlequin Duck(道化師カモ)と名付けられたのも納得の奇抜さです。メスは全体的に黒っぽい色で、顔にはぼんやりとした白斑が入りオスよりは控えめな印象。
シノリガモは見られる場所が限られており、冬は主に本州中部以北の太平洋側の海岸に生息しています。他のカモ類ほど大群にはならず、数羽の小さな群れで行動していることが一般的。時折海の中に潜っては、貝類や甲殻類などを探す様子が見られます<冬の農耕地は鳥がいっぱい♪野鳥撮影vlog(10:16~)>。
さて、いかがだったでしょうか?今回ご紹介した通り、カモ類は種によって見た目が大きく異なり、ここでは紹介しきれないほどまだまだ美しい種がたくさんいます。ぜひ自分だけの推しガモを見つけてみてくださいね。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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