解説!鳥の鳴き声図鑑#019 ~冬に群れる小鳥たち~
皆様こんにちは。YouTubeチャンネル「解説!鳥の鳴き声図鑑」のみきと申します。12月も下旬に差し掛かり、いよいよ冬本番。モズやヒタキ類が1羽で縄張りを作って越冬する一方で、様々な場所で小鳥の群れが見られるようになってきました。そこで今回はどんな鳥が群れているのかや、その様子についてもご紹介します!
異種同士で群れる「混群」
2月上旬、自然公園にて。ウルシ科の木にたくさんの小鳥が集まっています。まず見つけたのは…エナガです!
白い身体で目元は黒く、翼の一部はあずきのような色。また尾羽が柄杓(ひしゃく)の柄(え)のように長いから、「柄長(えなが)」です。クチバシで木の実をついばんで食べたり、「ジュリリ…」と鳴いて仲間に移動を促したりしています。<公園は鳥がいっぱい【野鳥撮影vlog】(1:00~)>
また、近くにメジロも発見!
目の周りが白く、抹茶のような色味が特徴です。「キュルキュル…」と高くて甘い声で鳴き、ここに餌があるよ~!と仲間に教えているのかもしれませんね。
このように非繫殖期には、エナガやメジロ、カラ類やコゲラなどの小鳥類は、異種同士で集まった群れ=「混群(こんぐん)」を形成します。混群を作る理由ははっきりとは解明されていませんが、猛禽類等の天敵に一早く気付けたり、餌を効率的に探すことができたりする、との説も。餌が似ている小鳥たちの、冬を生き延びる知恵なのかもしれませんね。彼らは、餌を求めて移動しながら生活します。複数羽、色んな鳥が一気に鳴きながら近づいてくる様子はまるで鳴き声のシャワー。追いかけるのではなく進行方向を予測し先回りしておくと、観察がしやすいです。
またその後もルリビタキやシロハラ、ツグミなどもやってきました!鳥が好む木の実を知っていると、群れを見つけやすくなるかもしれませんね。
電線にずらっとカワラヒワ
続いて、12月の農耕地にて。雨の中電線に並んでいるのは…カワラヒワです!
翼の一部分が黄色いのが特徴。地面に降りては籾殻や種子をついばみ…危険を察知すると、群れで一斉に飛び立ち、再び電線へと戻りました!<冬の里山は鳥がいっぱい♪(5:24~)>カワラヒワは繫殖期が終わると、幼鳥も交えた群れをつくり、時に数十羽になることもあります。
ところで電線に止まっている鳥をよく見てみると、全員同じ方向を向いていることが分かります。実はこれは、風が吹いてくる方向(=風上)に向かって止まっているためです。鳥は風を受けながらも空を飛ぶことができるよう、体の形や羽毛の生え方が正面からの風に強いつくりになっています。逆に風下に向かって止まってしまうと、羽毛がひるがえってバランスを崩してしまうかもしれませんね。鳥が同じ方向に並んでいたら、ぜひ同時に風向きもチェックしてみてください。
アトリの水浴び
最後に1月、低山の林にやってきました。水たまりにいるのは…アトリです!
オレンジ色と黒色が美しい小鳥で、数十羽の集団で水浴び中です。時には「ビー!」と鳴いて威嚇し、他の個体を追い払う姿もちらほら。<冬の公園は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(7:21~)>同種同士でも一番いいポジションは譲れないようです。このように鳥は、体についた汚れや寄生虫を落とすために季節関係なく水浴びをします。
しばらく観察を続けていると…コゲラが「ギー!」と鳴いた瞬間、何かの危険を察知したのか一斉に飛び立ってしまいました。<冬の公園は鳥がいっぱい♪【野鳥撮影vlog】(7:31~)>ただその後も木の陰に隠れて待っていると、1羽2羽と戻ってきて再び水浴びをする姿が見られました。鳥が来そうな場所があれば、近すぎない距離で障害物に身を隠して待っていると、やってきてくれるかもしれませんね。
さて、いかがだったでしょうか?冬は同種同士、異種同士、さまざまな鳥が群れをなして生活しています。ぜひ種類だけでなく、どんな行動をしているかまで観察してみてくださいね。
文・写真・動画:解説!鳥の鳴き声図鑑 みき
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