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佐伯剛 写真展 「かんながらの道」

 地震や台風などの自然災害が多い島国に生きる日本人は、自然に対する謙虚な姿勢を軸として、長い歴史を通じて文化を育んできました。今こそ、その文化を根底から見つめ直す時だという思いで、私は、この8年間、ひたすら日本の古層世界に潜り込んできました。 
 万葉仮名で、「かみ」は迦微と表記され、迦は「巡り合う」、微は「かすか」という意味となり、日本人の「かみ」への祈りは、自然界の営みの背後に密かに隠れている何事かに対する「畏れ多さ」を元にした、心の在り方だったと思われます。
 現代文明の中で生きる私たちもまた、自然に対する畏敬の念を完全に失っていない筈で、そこに私たちの心の普遍性があり、その心の働きを見つめ直すことが、日本人とは何か、人間とは何かという問いに向き合ううえで、鍵になってくると思われます。
 また、日本は湿潤な風土のため、古代に遡る日本の聖域はピラミッドやパルテノン神殿のように明確な形を保持しておらず、「なにごとのおはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる」という西行の歌のように、えも言われぬ気配だけを醸し出しています。
 そうした気配を通じて伝わってくるものを受け取るために、私は、0.2mmという極小の針穴を通る光が長時間をかけて画像を結ぶ撮影方法を選択しています。意識的に何かを狙い撃つ(shoot)写真行為よりも、無意識のうちに何ものかを招き入れる針穴写真の作法の方が、私たちが生かされている世界にアクセスする方法として相応しいと感じられるからです。
 
作品点数:61点 



■期間 

2025年2月6日(木)~ 2月17日(月)10:00 〜 18:00 最終日 15:00 まで 
入場無料 ※休館日2月11日(火)・12日(水)

■トークイベント

2月9日(日)15:00〜  スペシャルゲスト 映画監督 小栗康平氏
2月8日(土)、2月15日(土)、16日(日) 古代世界と針穴写真 by 佐伯剛

■作家プロフィール

佐伯 剛 Tsuyoshi Saeki
1962年1月 兵庫県明石市に生まれる。
2003年4月 グラフィック雑誌『風の旅人』を創刊。
編集長として、2015年10月発行の第50号まで編集制作。
2016年10月より、「日本の古層」プロジェクトを開始。
2020年4月 日本の古層Vol.1「Sacred world」を刊行
2021年7月 日本の古層Vol.2 「Sacred world」を刊行 
2022年7月 日本の古層Vol.3 「Sacred world」を刊行
2024年12月 日本の古層Vol.4 「始原のコスモロジー」を刊行
2025年11月 日本の古層Vol.5 「かんながらの道」を刊行

■会場

OM SYSTEM GALLERY(旧 オリンパスギャラリー東京)

●営業時間
10:00~18:00
火曜・水曜定休、GW・夏季・年末年始の長期休業

●所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F
電話番号:03-5909-0190

●アクセス
新宿駅西口から徒歩5分
新宿西口地下ロータリー左側の地下道を都庁方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。

都営地下鉄大江戸線都庁前駅から徒歩4分
B1出口から地下道を新宿駅方面に進む。地下道上部に「エステック情報ビル」の表示あり。

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