鳥たちに優しい社会
カメラの性能が進化し、野鳥撮影を楽しむ愛好家が増えています。撮影した写真や動画はSNSにすぐに投稿できるようになり、野鳥の生態や生息環境を知らずともSNSを通して、野鳥のいる場所などの情報を知ることが出来るようになりました。
マナーを知らないことで、野鳥にストレスを与えることは、野鳥の生態を変えてしまう可能性もあり、また、地域に暮らす方へ迷惑をかけてしまうことがあります。
OM SYSTEM note「鳥のきもち」マガジンでは、「鳥たちに優しい社会」と題して、鳥たちと共存し、野鳥観察や撮影を楽しく継続していくためのフィールドマナーや自然環境をテーマに綴っていきます。
野鳥観察・撮影マナー
愛らしい野鳥や希少な野鳥を観察・撮影することは、誰もが憧れるものです。しかし野鳥のことを知らないと、野鳥にストレスを与えたり、観察や撮影に集中するあまり、撮影地に住む人々や、他の観察者の迷惑になることがあります。
野鳥観察・撮影にあたって注意したいことをまとめました。
野鳥観察・撮影のマナーを守り、野鳥観察・撮影を楽しみましょう。
「 野鳥観察・撮影に関して 」
1.野鳥との距離を取る。追いかけ回さない
観察時や撮影時には、野鳥と十分な距離を取るよう心がけましょう。
撮影のためにわざと野鳥を飛び立たせるような行為は厳禁です。
2.営巣中、育雛中の野鳥や巣へは近づかない
親鳥は卵やヒナを守るために神経をとがらせています。人の存在がストレスの原因となり、「この場所は危険」と判断して親鳥が巣や抱卵を放棄したりヒナが十分に育つ前に巣立たせたりする可能性があります。
また、親鳥が驚き、あるいは警戒し、巣を離れてしまった場合、卵やヒナが捕食者にさらされたり、低温にさらされたりすることで、繁殖に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
3.野鳥の鳴き声を流して野鳥を誘引はしない
鳴き声を流すことによって、オスは、別のオスが縄張りに侵入してきたと勘違いし、防衛のためにさえずったり飛び回ったりします。その場所で安心して子育てをしなくなる等、ストレスを与えることにもなります。また、勘違いした親鳥が、縄張りの防衛のために巣を離れてしまうと、卵やヒナが捕食者に狙われたり、低温にさらされたりする等、悪影響があります。
4.餌付けによる誘引はしない
野鳥は人の手を借りずに自然の中で生きています。撮影目的で、餌付けをしてしまうと、野鳥本来の生態を変えてしまう恐れがあり厳禁です。
5.私有地や立ち入り禁止場所へ侵入しない
立ち入り禁止場所へ侵入しての撮影は厳禁です。「立入禁止」の看板等がなくても、柵や囲いで立入規制をしている場合があります。
また、牧草地や畑は私有地です。田んぼの畔(農道を含む)や山道等も、私有地の場合があります。また、霊園や寺社境内等も、公共の場所ではなく団体等の所有地で、特に周囲の人々や環境への配慮が必要な場所です。
6.撮影にフラッシュ・LEDライトなど強い人工照明を使用しない
暗い場所では、フラッシュやLEDライトなどの強い人工照明の使用を避け、F値の明るいレンズを使用したり、ISO感度を上げて撮影しましょう。
事前にフラッシュは発光禁止に設定し、AF補助光設定もOFFにしておきましょう。
7.他の観察者・撮影者へ配慮する
公園や公共の場では、園路や歩道を利用する方に配慮しましょう。また三脚を使うときは、三脚禁止エリアを確認し周囲の方に配慮し撮影しましょう。
観察・撮影のために、木や枝を伐採し、自然環境や野鳥の生活環境を変える行為は厳禁です。
多くの人が集まる場所での撮影場所確保や長時間の占有を控え、譲り合って観察・撮影することが必要です。
大きな声での会話も避けましょう。
8.プライバシーを守る
自分や自宅にレンズを向けられれば、気持ちの良いものではありません。建物がある場合、通行人がいる場合は、十分に注意しましょう。また、農耕地や漁港等では、許可なく作業中の方に双眼鏡等を向けないよう注意しましょう。
「 写真・映像・情報の公開について 」
1.営巣中等の写真や映像をSNSで公開しない
かわいいヒナの姿や心温まる親子の姿は、素晴らしいものです。しかし、SNS等で公開してしまうと、野鳥の生態を知らない方が営巣場所に詰めかけ、繁殖を放棄させたり、巣立ちを早くさせたりして、野鳥の繁殖行動に悪影響を及ぼす可能性があります。人が集まる状況を生まないための配慮が必要です。
2.詳しい撮影地は公開しない
撮影地が公開されると、観察・撮影者が詰めかけることになり、交通の妨げになったり、地元住民や公園利用者等に迷惑をかけることになります。公開前に、人が集まっても問題がない場所かよく考えることが大切です。
また、撮影場所が特定されないよう、GPS付きのカメラの場合は、画像からGPSデータを外すようにしましょう。
3.稀な渡り鳥等の写真や映像、情報は、鳥が撮影地からいなくなってから
わずかな情報から、その場所を特定し、たくさんの人が集まるリスクがあります。その野鳥が、その場所から去るのを待ってから「すでにいなくなった」という記述とともに公開することで、野鳥にストレスを与えることや、周辺住民への迷惑も防ぐことができます。
鳥たちに優しい社会 #01 〜はじめに〜
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