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Vol.3 高画質、さらに表現性をプラスするコンピュテーショナル フォトグラフィ

#創るをツナグ  OM SYSTEM OM-1開発ストーリー Vol.3 (全5話)

OM SYSTEMを生み出すモノ作りの裏側「ビハインドストーリー」を社員が語るシリーズ第3弾では、コンパクトなボディーに高画質と高性能を兼ね備え、唯一無二の撮影体験を提供する「OM SYSTEM」のフラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1」(2022年3月発売)について全5話でお届けしています。Vol.3は、気になる画質の話と表現性を高める撮影機能についてのお話です。


OM-1は「画質推し」! フルサイズ一眼を超える高画質をめざして開発

−ユーザーとしては、OM-1の画質がどうなっているのかという点がやはり一番気になると思うのですが。

一寸木:そうですよね、まずは高画質であるということをお伝えしたいです。特に高感度では、常用高感度ISO25600を実現(高感度は102400まで設定可)し、高感度撮影でもフルサイズと同等の画質を達成するのが目標でした。いろいろ制約はあったんですけれど、とにかく「画質推し」ということで、一旦それらを忘れて画質を重視したアルゴリズムの設計を考えました。その結果、従来の50倍くらいの大きさの回路になっちゃったんです。

−もろもろの制約を取っ払って、まずは最高性能を追求したわけですね。
 
西原:はい、そうしたらものすごい大きなカメラができそうになっちゃったんで、そこから小型化する努力を一生懸命してきました。

一寸木:OM-1のデータの処理速度については、「従来より3倍速くなった」という言い方をしていますけど、処理が多くなる画質向上と処理の高速化を同時に実現しています。

−高感度の画質ではノイズ処理が重要になってきますよね?

一寸木:新しい撮像センサーと画像処理エンジンでノイズの少ないデータを読み出した上で様々な処理を行っています。具体的な内容は、企業秘密でお伝えできませんが、今までと全く違う処理をして高画質を実現しています。

−ノイズなのかディテールなのかの判別はかなり難しそうですね。
 
西原:いろんなシーンを撮り比べてみましたけど、OM-1では羽毛の1本1本などかなり細かいディテールを残した状態でノイズも取れているし、高感度でもしっかり色が残っているんですよ。

一寸木:解像とノイズ除去のバランスがいいんだと思います。ノイズ処理の部分では、フルサイズに追いつけたと思っています。 ぜひ、OM-1撮影した画像を大きく拡大していって被写体の持つ質感だったり、解像とかディテールを見ていただきたいです。

ハードとソフトの複合進化で生み出される「コンピュテーショナル フォトグラフィ」

–OM-1では、ノイズ除去のためだけに高性能な画像処理エンジンやセンサーを搭載しているわけではないですよね?

一寸木:はい。高画質はハードとソフトの複合進化によるものであると考えています。さらなる高画質と今まで撮影できなかった写真が撮れること=表現力の拡大を実現するため、私たち開発チームは、コンピュテーショナル フォトグラフィに積極的に取り組んできました。皆さんに使って欲しい機能なので、OMー1では、「コンピテーショナル フォトグラフィ」を1つのメニューにまとめました。

コンピュテーショナル フォトグラフィ関連機能は、カメラ2メニューにまとまっている。

各機能については、こちらの製品ページをご参考ください。

西原:カメラ内で処理ができる、撮ったその場で画作りがわかるというところに「コンピュテーショナル フォトグラフィ」の大きな意味があります。

–性能的にも進化しているんですよね?
 
一寸木:普段使いの機能として使ってもらえるよう、いろいろな点で進化させています。例えば「手持ちハイレゾショット」は、カメラ内での画像生成時間を前機種より半分の時間に短縮しました。また、実は、開発当初の目論見は6秒だったのを5秒にしたりと1秒でも短くしようと努力を重ねました。 

一寸木:1秒ってほんのちょっとの時間ですけど、ものすごく大変でした。ハード的な処理では6秒が限界なんです。さらにもう少し短縮できないかということで、アルゴリズムを変更したうえで合成枚数を16枚から12枚にすることで、画質を維持しながら処理時間の短縮を実現できています。

西原:さらに「手持ちハイレゾ」を一発で呼び出せるボタンを設けました。ボタンを押しながらダイヤルを回すと手持ちと三脚を切り替えられるようになっていますし、他の「コンピュテーショナル フォトグラフィ」をそのボタンに割り当てることも可能です。
 
–操作性もアップしているんですね。他におススメの機能はありますか?どんな「コンピュテーショナル フォトグラフィ」が注目ですか?

西原:ライブNDの上限をND64までアップさせて、表現の幅を広げました。風景撮影などでぜひ使って欲しい機能です。NDフィルターを取り付けられない超広角系のレンズや、明るくてシャッタスピードを長くできないようなシーンでもスローシャッター効果を実現することができますし、撮影前に電子ビューファインダーや背面液晶モニターでスローシャッター効果の確認ができるので、表現を作りこみながら撮影できるカメラになっています。

海の岸壁。日中でもND64で撮影すれば波をボカして幻想的な写真表現ができる。

ー撮影関連での進化で、ぜひ伝えたい機能や進化はありますか?

一寸木:ナイトビュー機能は、星景写真を撮影する写真家の「山の形だけ見えてもダメ。手前の山肌まで見えないと構図が取れない」というコメントを受け、見えるか見えないかのギリギリのところを目指しました。結果、天の川も視認できるようになっています。

西原:ナイトビューと一緒に使って欲しい機能が手持ち撮影アシスト機能です。画面に四角い窓が出るんですが、その中の白点を真ん中に止めるようにすることで手ぶれを少なくできます。長秒撮影時の成功率がグンと上がります。

スローシャッターでしか撮影できない表現も三脚なしで気軽に撮影できます。


–手持ち撮影アシスト機能の使い方のポイントはありますか?
 
一寸木:白点をなるべく枠から出ないように意識することでしょうね。回転方向のぶれ補正を強化していますが、ぶれが大きくなると補正し切れないので、枠の白いバーを参考に回転方向も抑えるようにするといいでしょう。

手持ちアシストの撮影画面。カメラの中央に表示された枠から中央の点が外れないように撮影すれば長秒時撮影でも手ぶれを防いで撮影できる。

西原:長秒時の撮影だけじゃなくて、きちんとカメラを構えられているかということを確認する意味でも使ってみる価値がある機能です。自分の構えのクセも分かりますから、構図のジャマにならない限り、常時オンをオススメします。

露光時間(オレンジ部分)と手ぶれの程度の違い。
手持ち撮影アシストを使えば、15秒手持ちでの長秒時撮影でもぶれを防いで撮影できる。



#創るをツナグ  OM-1開発ストーリー は、Vol.4 に続きます。

■話し手:一寸木達郎(ELシステム開発2ディレクター)西原芳樹(製品開発1 ディレクター)
■聞き手:柴田 誠(フォトジャーナリスト)

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